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小さな恋の冒険 ラピュタと呼ばれる空に浮かぶ伝説の島をめぐる騒動を描いた作品。 本作のような壮大なテーマを冒険活劇という形式で魅せる手法は、いかにもアニメーションらしい、と言うかアニメーションならではの醍醐味であると言えるだろう。作風は宮崎駿監督の前作風の谷のナウシカとの共通性が感じられるのだが、主人公を男の子にした事で、やんちゃな冒険色が強くなったように思う。 宮崎駿の優れたところはいくつもあるのだろうが、私は、その中のひとつとして緻密な舞台設定が挙げられるのではないかと思う。そして、その手腕が分かりやすく感じられるのは、ルパン三世カリオストロの城ではないかと思う。 現実の世界を舞台にしながら、カリオストロ公国という架空の国家を完璧なまでに創造したルパン三世カリオストロの城。現実との兼ね合いを見事に実現したセンスと、その為に擁した周到なリアリズムがなければ、作品のクオリティーは著しく低下していたであろう。 本作でも宮崎駿が作り出した創造世界を存分に堪能する事が出来る。舞台は19世紀あたりの架空な世界。ファンタジーな物語を進める上で、都合の良い舞台設定だと言えるだろうが、安易なご都合主義で終わらせず、しっかりとその設定に命を宿らせているのが、いかにも彼らしい。さらには宮崎節とも言える細かな動作へのこだわり、アナログなメカニズムを用いて感じさせる機械の躍動感もリアリティーの構築には欠かせない要素であると言えるだろう。 鉱山町で働く親のいない少年パズーは、空から舞い降りてきた少女シータにシンパシーを感じ、彼女と共に邪悪な大人たちと戦い、亡き父が目撃したラピュタの謎に挑む。 本作が荒唐無稽なフィクションであるのは間違いない。だが、それを理解していても感じさせるリアリティーは、観る者を物語へと引きずり込ませる。だからこそ、本作の登場人物たちの勇気に、混じり気なしに感銘を受けるのではないかと思う。 アニメーションだからといって甘えず、逆にアニメーションという表現方法の良点を最大限に活かした、至極のエンターテインメントだと言って良いだろう。 |
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