自分勝手な映画批評
風の谷のナウシカ 風の谷のナウシカ
1984 日本 116分
監督/宮崎駿
声の出演/島本須美 松田洋治 納谷悟朗
腐海(ふかい)を探索するナウシカ。気配を感じ、銃声が聞こえ、外を見渡すと、王蟲(オーム)に誰かが追われていた。

壮大なる宮崎駿のメッセージ

最終戦争の後、生態系が変わってしまった未来を描いた作品。架空の戦争後の世界を描くという意味では、宮崎駿が本作以前に製作したテレビアニメ「未来少年コナン」とのコンセプトの共通性も感じられる。

本作で描かれている世界には、人間が立ち入る事の出来ない「腐海(ふかい)」と呼ばれる区域が存在し、人間は、そこに生息する今現在では現実には考えられない程巨大化した虫達に怯えながら生活している。すなわち、本作での地球は、決して人間だけが支配しているのではない。

作品に、とりわけイデオロギーを含んだメッセージ性を感じる宮崎駿の作風を考えると、環境に関する問題を提起しているように思える。と同時に「人間同士ですら争い事ばかりなのに、他の生き物と上手くやっていける筈はない」と言われているようにさえ感じる。

しかし、本作は、そのメッセージだけでは終わらない。力強いメッセージに負けないアニメーションがあるからこそ、本作は評価されているのだろう。そして、優れた、壮大なスケールのアニメーションで魅せるからこそ、メッセージが生きるのだろう。

主人公のナウシカはアニメ史上に惨然と輝く、屈指のヒロインと言って良いだろう。アニメーションだから具現化出来るヒロイン像のひとつの完成形ではないかと思う。男勝りという表現は適切ではないが、可憐な少女の清く正しく勇敢な姿は、否応無しに観る者を釘付けにする。


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