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誰が騙して、誰が騙されているのか? 元MI6の男と元CIAの女が織り成す企業の情報戦を舞台にしたクライムミステリー。 スパイ映画というと、どうしても007をイメージしてしまう私は頭が固いのかもしれない。しかし、本作冒頭のクライヴ・オーウェンのスーツ姿を見るとジェームズ・ボンドを連想してしまう。そんな影響でか、さながらジュリア・ロバーツもボンドガールといった印象だ。その他、音楽や映像にも007イメージを感じとる事が出来る。しかしこれは、もはや007という訳ではなくスパイ映画のフォーマットなのかもしれない。 但し、本作にはアクションシーンがない。それでも、アクション作品と類似且つ同等のスリルと疾走感を感じさせるのは見事。それは、テンポ良くスタイリッシュにまとめ上げた演出と、アクションシーンがない事でリアリティーを与えているのが大きな要因であろう。これは、トニー・ギルロイ監督の前作フィクサーと共通する手法だ。 一枚一枚、丁寧に皮を剥ぐように、徐々に明らかになる事実。ゆっくりとではあるが、物語の全貌が少しづつ見えてくる。しかし単なる謎解きではない。それはスパイならではの手に汗握る攻防であり、そして、職業病とも言えるスパイ気質が大いに関係してくる。 作品の構成上、少々分かりづらいのが玉にキズだが、それが本作の持ち味であり、その複雑さがあるからこそ、最後にニヤリとさせられる快感を味わえるのではないかと思う。 余談だが、クライヴ・オーウェンとジュリア・ロバーツは、赤裸々な愛憎劇を描いたクローサーでも以前に共演している。 |
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