自分勝手な映画批評
クローサー クローサー
2004 アメリカ 103分
監督/マイク・ニコルズ
出演/ジュード・ロウ ジュリア・ロバーツ クライヴ・オーウェン ナタリー・ポートマン
ダン(ジュード・ロウ)は向こうから歩いてくる若い女性アリス(ナタリー・ポートマン)と目が合う。次の瞬間、彼女は車に轢かれてしまう。

大人たちの赤裸々な四角関係

人気舞台劇の映画化らしいが、なるほどと思ってしまう。登場人物は、ほぼ四人。きっと舞台でセットや小道具がなくても成立してしまうだろうと思う程、四人の関係や人間性、そして俳優の演技力に重点を置いており、その熱いパワーは十分すぎる程伝わってくる。

本作では恋愛感情や性への欲望が赤裸々に描かれている。これだけ見ると随分と色欲に映ってしまうが、これは彼らの一部分、あるいは裏の顔、ひと皮剥けた姿であり、あくまでもその部分がクローズアップされていると考えるべきであろう。この異性に対する情熱は彼らの本性なのかもしれないが、一方で彼らには立派な職業があることを忘れてはならない。感情移入できるかできないかは別にしても、その方がリアリティを感じられるはず。人間、オフィシャルとプライベートな顔があって当然。あの紳士・淑女が裏では……と下世話にも思える反面、純粋に彼らの真直ぐな情熱に感銘も受ける。

男性陣はナタリー・ポートマン演じるアリスを子供扱いするのだが、彼らも十分子供だ。大人になるということは、自己を抑制できるということでもあると思う。本能のままに言動し行動する彼らは人間らしいと言えるだろうが、大人になりきれていないとも言えるだろう。しかし身勝手とも思える自己主張は有無も言わせず実にパワフル。露になった生の姿に圧倒させられる。

それにしても男性よりも女性の方がどうやら上手のようだ。


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