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全てはこの道から始まった とある田舎町に暴走族が訪れて巻き起こす騒動を描いた作品。 邦題の「乱暴者」は「あばれもの」と読む。原題は「The Wild One」。現代なら原題をそのまま日本でも使用したであろう。だがしかし、不格好にも思える邦題は、作品内容の荒々しさを上手く表現していると思う。 ロックンロール誕生以前に生まれたロックンロール以上に反骨な本作は、現代の感覚を用いても衝撃を覚えるであろう。穏やかな田舎町に大挙して現れた暴走族は、まるで地球外生命体のようなモンスター。言葉は通じるが話が通じない彼らは傍若無人。我が物顔で町を破壊して行く。 但し、相対する町の人々、大人たちも決して誉められる行動はとっていない。「目には目を」あるいは「やられたらやりかえせ」の精神は、もしかしたら、この状況では仕方がないのかも知れない。また、町を脅かす無法者に立ち向かう町の人々の姿は、勧善懲悪の爽快感が味わえる、昔ながらの映画のスタイルだと言えるのかも知れない。しかし、これが大人と若者の間柄で行なわれるのは、何ともばつが悪い。 同じく若者の危うい行動を描いた作品に、ジェームズ・ディーンのエデンの東や理由なき反抗がある。それらが登場人物たちの背景に重きを置いていたのに対し、本作ではほとんど描かれてはいない。それは、人間模様が紡ぎ出す作品の深みを放棄したと言えるのかも知れないが、その事により、バイオレンスでショッキングな作風を導いたと言えるのではないかと思う。 そんな中、主役の面目とでも言うべきか、マーロン・ブランド演じるジョニーは、人間味を感じさせるキャラクターとして描かれている。 マーロン・ブランドは仲間を統率するリーダーとしての資質と、屈折した心情を持つ、いち不良少年としての資質の二面性を堂に入った演技で表現している。そのジョニーとヒロインのキャシー、彼女の父で警官のハリーとの関係は唯一の人間ドラマとして機能する。そして何より本作が、ジョニーの回顧録である事が救いなのではないかと思う。 屈折した青春、あるいは不良少年のシンボルと言えばジェームズ・ディーンだが、彼や彼と同世代の俳優には、マーロン・ブランドの影響があったと言われている。私には、その影響力がはっきりとは分からないのだが、そのような観点で臨むのも面白いのではないかと思う。 ジーンズはジェームズ・ディーンの代名詞。だが、マーロン・ブランドは彼よりも早く、本作でその姿を披露している。ジーンズと皮ジャンのスタイルは、長い年月が経ってもカッコ良く映る。 また、オートバイでのアクションにも注目したい。確かに現代のアクションシーンは、技術や演出の高度な発展により、絶大なる迫力をもたらしている。しかし、少し意地悪く言えば、どこか画一的なようにも感じてしまう。 本作のアクションは、まだまだ粗野で未熟だと言えるのかも知れない。しかし、現代では味わえない生々しさが伝わってきて、本作の持つ、荒々しく乱れた雰囲気を助長させる。 |
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