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愛されていないと感じる苦しみ 自分の居場所が見つけられない青年の姿を描いた作品。 理想と現実と言ったら、あまりにも極端でオーバーなのかも知れないが、少なからず本作の根底には、その意識が流れているのではないかと思う。どちらが良いという話ではないだろう。どちらも合わせ持っていなければならないのだと思う。ただ、どこかで歯車が狂い、互いに意固地になってしまったのならば、その意識に基づく立場の違いは顕著になってしまうのかも知れない。 父と息子2人の家族。厳格な父の意に沿う優等生な兄、父に理解されていないと劣等感を感じる弟。但し、単純な構図ではない。父は2人の息子たちに愛情を注いでいる。それが届いているか、いないかの違い。また、兄弟の仲が悪い訳ではない。 但し、父には秘密があった。死んだとされていた息子たちの母は生きていた。それを知った弟は母に共感を覚える。理屈ではない、血が繋がっているというだけで感じる絶対的なシンパシー。弟には、精神的に強固な拠り所が出来た。今まで不安で不満でしかなかった自らの存在を、納得させる事が出来たのだろう。 本作を簡単に言い表わせば、甘ったれた若者のすねた物語だ。だが、その稚拙さが、通常ならば覆い隠されている筈の真理を浮き彫りさせていると言えるだろう。 常に苛立ちを抱える悩める弟キャルをジェームズ・ディーンが素晴らしく演じる。彼の演技があってこそ本作が成立したと言っても過言ではないだろう。彼の全身全霊で何かに取り憑かれたように表現する喜怒哀楽は傍若無人。他と交わる事を拒むような独自の道を貫く演技は、キャルの感じる疎外感を、より一層鮮明にしていると言えるだろう。 それまでにもキャリアはあったのだが、本作で表舞台に登場したとも言えるジェームズ・ディーン。そんな事など微塵も感じさせない堂々たる演技は圧巻である。本作をスタート地点と考えるのならば、どれだけ役者として成長し、演技力を向上させる事が出来たのだろう? あるいは、どういった役者になっていたのだろう? 彼の早すぎる死は、映画界にとっても大きな損失だったであろう。 性格が異なる兄弟が登場する点を共有するリバー・ランズ・スルー・イットとの違いを見比べるのも面白いかも知れない。 |
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