自分勝手な映画批評
ジェシー・ジェームズの暗殺 ジェシー・ジェームズの暗殺
2007 アメリカ 160分
監督/アンドリュー・ドミニク
出演/ブラッド・ピット ケイシー・アフレック サム・ロックウェル

伝説のアウトローにまつわる悲劇

19世紀後半の実話にまつわる物語。リバー・ランズ・スルー・イットファイト・クラブ等、ブラッド・ピットはカリスマ性ある人物を演じる事があるが、今回は実在のカリスマ犯罪者、ジェシー・ジェームズを演じる。また、前述2作がブラッド・ピットが演じる役の目線ではなく、彼に魅せられた人物の視点で物語が進んでいくが本作もその類いに当てはまり、偶然なのか意図してなのかはわからないが、ブラッド・ピットという役者は面白い天命にあると感じてしまう。

物語が進むにつれ、淡々と重苦しくなっていくのだが、行き着くところは破滅。気の許せない男を側近として置く事自体、結局は銃を置き背を向ける行為の序章なのだろう。

アメリカでは有名な話でも予備知識のない日本人には実話に基づいた作品としての意味はあまりなさない。作品冒頭もやや複雑で難解でもあるが、中盤以降の心理描写は秀逸。ジェシー・ジェームズの破滅的心理・行動もそうだが、彼を撃ったボブの心理も面白い。彼はジェシー・ジェームズを手放しで崇拝していたのではなく、彼のようなスーパースターになりたかったのだろう。だから大仕事を成し遂げたにもかかわらず評価してくれない世間に失望した。そんなボブをケイシー・アフレックが好演。ボブのしたたかさとナイーブさを上手く表現している。


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