自分勝手な映画批評
リバー・ランズ・スルー・イット リバー・ランズ・スルー・イット
1992 アメリカ 124分
監督/ロバート・レッドフォード
出演/クレイグ・シェイファー ブラッド・ピット
老いたノーマンは釣りをしながら自分の人生を振り返っていた。厳格な父、優しい母、そして弟…

儚い人生、川は何も言わずに見守っている

生真面目な兄と奔放な弟という図式は何故か成立する。一番身近な兄弟に対する特別な意識が存在するのは当然だろう。しかし、そのコンプレックスは兄だけではなく、父も母も息子であるポールの人生に魅せられていた。父は彼を美しかったと称したが、その美しさとはときめきに対して貪欲な生き方であり、それを成し遂げてしまう才能だろう。自分にはできない奔放な生き方が彼らにとっては美しく映ったのだと思う。しかし、ポールも兄ノーマンや両親にコンプレックスや尊敬の念を持っていた。結局はないものねだりなのかもしれない。そういった他者との比較で葛藤し自己を確立するのも人生の一部であるのだろう。

フライフィッシングはやったことがないのだが、かなり難しいモノだと想像できる。それを本作のベースにしたのは絶妙であり、ポールの希有な人物像と自然との繋がりをさりげなく演出している。

自然は雄大で偉大だ。人生は自然に比べるとあまりにも小さい。だが、人間が敬いさえすれば、自然は常にそこにいてくれる。川は語りかけてはくれないが、人々の喧騒を見守りながら流れていく。

本作はノーマンの視点で描かれている。人生を振り返っているので一歩引いた目線なのだが、それが第三者的でもあり、あたかもまるで川が見守っているようにも感じる。変わらないモノがあることは多くの人にとって嬉しいことではないだろうか。

私にとってブラッド・ピットは本作が初見だった。彼の容姿や伸びやかな演技は本作の監督であるロバート・レッドフォードの若き日の姿や、兄弟というテーマで共通するエデンの東に出演したジェームズ・ディーンのイメージとダブった。公開時、すでにブラッド・ピットよりも若い世代が頭角をあらわしていたが、新しいスターの誕生を大いに感じた。今後の彼の活躍が容易く想像できるほど、本作の彼の演技に魅了された記憶がある。


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