自分勝手な映画批評
ニューイヤーズ・イブ ニューイヤーズ・イブ
2011 アメリカ 118分
監督/ゲイリー・マーシャル
出演/ハル・ベリー ジェシカ・ビール ジョン・ボン・ジョヴィ
忙しいニューヨークの大晦日。大晦日の恒例イベントであるタイムズスクエアのボール・ドロップの責任者でタイムズスクエア協会の副会長のクレア(ヒラリー・スワンク)は、ラジオのインタビューに答えていた。

新しい年への希望を胸に

ニューヨークを舞台に大晦日の喧噪を、いくつものストーリーを並行させて描いた群像劇。

子供の頃、夜更かしというのは手近な好奇心であり、ちょっとした冒険だった。だが、親は決まって「早く寝なさい」と言って、その芽を摘むのだった。

しかし、大晦日だけは違っており、その夜に限っては絶対君主である親より夜更かしの許可が下りた。だが、日頃、早寝に慣れている我が身にとっては夜更かしの遂行は難務。それでも千載一遇のチャンスに好奇心をフル活動させて、日付けが変わる瞬間の奇跡を見届けようと、夜更かしという冒険に邁進するのだった。

そんな幼い体験が身に染み付いているからか、私は年の瀬の時期には自然と気分が高揚し、不思議な胸騒ぎを覚える。もっとも別段、そんな私の個人的な感覚を持ち出さなくても、年の瀬には他の時期とは違う、独特なムードを感じるものではないかと思う。本作は、そんなムードが上手く再現出来ている作品だと感じる。

本作は2010年公開の映画「バレンタインデー」と同じスタッフが手掛けた作品らしい。「バレンタインデー」の続編ではないのだが、数多くのストーリーを混在させるスタイルは踏襲している。そういった混雑具合も、年の瀬特有の慌ただしいムードを作り出す要因になっていると言えるだろう。

冒頭、すべてのストーリーが一斉に動き出すので混乱してしまうのかも知れない。しかし、混乱は一時のみ。観ていれば自然と整理がつく事だろう。

ただ、それぞれのストーリーは深く掘り下げられてはいない。数多くのストーリーが2時間の中に詰め込まれているのだから当然である。だが、そんな難点を逆に利用して、ちょっとしたイイ話的に仕立てる手腕は「バレンタインデー」と同様に見事。シチュエーションこそ違えど、それぞれが適度に笑いを織り交ぜながら、心温まる感動をもたらしてくれる。

各ストーリー、どれも素晴らしいのだが、特に私が興味深く感じたのはミシェル・ファイファーとザック・エフロンのストーリーだ。このストーリーは明らかに「ローマの休日」へのオマージュである。ゲイリー・マーシャル監督のロマンチストのルーツが垣間見れるような気がして面白い。

豪華なキャストも本作の見どころだ。ロバート・デ・ニーロ、ヒラリー・スワンク、ハル・ベリーといったオスカー俳優の共演は「バレンタインデー」以上に豪華だと言えるのかも知れない。

中でも個人的に嬉しかったのは、ジョン・ボン・ジョヴィ、アビゲイル・ブレスリン、キャサリン・ハイグル、ジョシュ・デュアメルのキャスティングだ。

ジョン・ボン・ジョヴィは言うまでもなくロックバンド、ボン・ジョヴィのボーカル。元々、ルックスには定評があり、調べてみると、すでに演技のキャリアがあったようだが、私は演技に関しては初見。なのでロッカーとしてしか知らない私には、本職の俳優たちに交じっての堂々たる演技は驚嘆であった。劇中での「CAN’T TURN YOU LOOSE(お前をはなさない)」のパフォーマンスも嬉しいサプライズだ。

ちなみに「CAN’T TURN YOU LOOSE(お前をはなさない)」はブルース・ブラザーズのテーマ曲のような感じでも有名なのだが、そのブルース・ブラザーズのジョン・ベルーシの弟、ジェームズ・ベルーシが本作に出演している。

ブレスリンは「リトル・ミス・サンシャイン」等で有名な子役スター。だが、本作を観れば子役スターだったと過去形にするのが正しいのかも知れない。あどけない可愛らしさを振りまいていたブレスリンが、悩める思春期の女の子を演じる姿には感慨深いものがある。

感慨深いといえば、更に個人的な感情になるのだが、ハイグルとデュアメルも同様だ。2人は私が好きなアメリカのテレビドラマ「グレイズ・アナトミー」、「ラスベガス」に、それぞれ出演していた俳優である。2人共、すでにテレビドラマを卒業し、映画界に活躍の場を移しているのだが、それでも錚々たるオールスターキャストの一員に加わっているのは感激である。

ちなみにハイグルとデュアメルは、2010年公開の映画「かぞくはじめました」でも共演している。また、「バレンタインデー」にも「グレイズ・アナトミー」のキャスト、パトリック・デンプシーとエリック・デインが出演している。


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