自分勝手な映画批評
バレンタインデー バレンタインデー
2010 アメリカ 125分
監督/ゲイリー・マーシャル
出演/アシュトン・カッチャー ジェニファー・ガーナー アン・ハサウェイ
バレンタインデーの朝、リード(アシュトン・カッチャー)は隣で眠っていたモーリー(ジェシカ・アルバ)にプロポーズし婚約指輪を手渡した。

愛とは、相手を丸ごと愛すこと

バレンタインデーのロサンゼルスを舞台にした、様々なカップルの恋愛模様が入り交じった群像劇。

国際感覚の薄い私の得た不確かな情報ではあるのだが、どうやらアメリカではクリスマスは家族で過ごす日であり、恋人同士で過ごす日がバレンタインらしい。

日本でもバレンタインは恋人の日ではあるのだが、お中元・お歳暮のような慣例として、チョコレートを渡す日のような意味合いを持っている事を考えると、本作で描かれているバレンタインの日の喧騒は、日本で言うところのクリスマスの感覚に近いのではないかと思う。そういった意味で、まず本作は、日本とは多少異なるアメリカのバレンタインの実情が理解出来る、興味深い作品だと言えるのではないかと思う。

本作の最大の特徴は、豪華キャストを多数擁した、実に多くのストーリーが混在している点である。その混雑振りは半端ではないのだが、主役級のキャストを数多く並べたので、それらの俳優たちに相応しい立場の役柄を用意する為、すなわち、彼らを主役として扱う為には、ストーリーが複数存在するのは当然の結果だと言えるだろう。

その賑々しさは、まるで大好きなご馳走ばかり並べられた食卓のような贅沢さである。ただ、豪華絢爛を装ったとしても、全体としてのまとまりに欠けてしまう場合も往々にしてあるのだと思う。しかし本作は、それらを実に見事に調和させ、最高の宴に仕上げたと言えるだろう。

確かに、大人数のキャストと、それに伴う多くのストーリーの乱立は作品に弊害をもたらしかねない。実際、ストーリーがまだ動き出さない本作の序盤は分かりづらく、また、それ以降も、常に息つく暇のない、慌ただしさ、騒々しさを感じない訳でもない。だが、それらを決してウィークポイントにはせず、優れたショーマンシップで料理していく手腕は圧巻である。

それこそがハリウッドの底力だと私は思う。莫大な予算を用いた、大掛かりな作品世界を提供するだけがハリウッドの素晴らしさではない。観客を豊かで幸せな気分にさせようとするショーマンシップ、そしてその実行力こそが、ハリウッドの最大の武器なのだと思うし、日本を含めた他国の作品では到達出来ない、あるいは味わえない魅力なのだと思う。

本来なら我が道を行っている筈の個別のストーリーが、巧妙に絡み合うのも気持ちが良い。その気持ち良さを感じるのは、本作の基本に優しさがあるからだろう。そして、その基本があるからこそ、軽妙に笑わせ、ホロリともさせ、そして何より、この上なくロマンティックなのである。

エンターテインメントの醍醐味を実に上手い具合にまとめ上げた本作は、中々の秀作ではないかと思う。本作と同じように複数のストーリーが混在し日本のクリスマスを舞台にした大停電の夜にと見比べるのは面白いのではないかと思う。


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