自分勝手な映画批評
96時間 96時間
2008 フランス 93分
監督/ピエール・モレル
出演/リーアム・ニーソン マギー・グレイス ファムケ・ヤンセン
ブライアン(リーアム・ニーソン)は、離婚した為に離れて暮らす娘キム(マギー・グレイス)の誕生日プレゼントに簡易的なカラオケのおもちゃを購入し、キムの盛大な誕生日パーティーに訪れて手渡した。受け取ったキムは喜んだのだが、元妻レノーア(ファムケ・ヤンセン)の再婚相手のスチュアート(ザンダー・バークレー)が用意したプレゼントの馬を見ると、キムはそちらの方に走って行ってしまう。

愛する者の為、父は戦う

娘を誘拐された男が単独で巨悪へ挑む姿を描いたアクション作品。

一匹狼な男を主役にしたアクション作品という点では、同じくリュック・ベッソンが製作に携わるレオントランスポーターシリーズと同一線上にある作品ではないかと思う。但し、本作がその2作と異なるのは、社会性ともいうべき現実的な要素が備わっている事だ。

それは偏に主人公が子を持つ親であるからである。本作の主人公は、自らの生きざまでもプライドでもなく、我が子の為に必死になって戦う。前述の2作も必ずしも自分の為に戦う訳ではないのだが、子を思う親の心情というのは、観る者の日常を鑑みても理解に容易く、より感情移入出来るのではないかと思う。

それもあってか、リーアム・ニーソン演じる主人公のブライアンにはジャン・レノやジェイソン・ステイサムが演じたキャラクターのような独特なカリスマ性は感じない。ただ、それも作品を身近に感じられる効果をもたらしているのではないかと思う。

作品の冒頭で観る者の心をガッチリと掴む手腕は実に見事。主人公である元CIA工作員のブライアンと、彼と離婚して裕福な男と再婚した元妻レノーア、そしてブライアンが何より大事に想う元妻と一緒に暮らす娘のキム。それぞれがどのようなキャラクターで、どのような想いが交錯する関係性であるかが冒頭で簡潔にまとめられており、本作にどういった心情で臨めば良いのか、観ているだけで解決させてくれる。

正直、邦題に取り上げた96時間というタイムリミットの効力、時間制限による緊迫感は薄いように思う。だが、そういった制約は関係なく、ノンストップで繰り広げられるアクションとサスペンスは、雑念を忘れさせ、一気に楽しませてくれる。


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