自分勝手な映画批評
レオン レオン
1994 フランス/アメリカ 110分
監督/リュック・ベッソン
出演/ジャン・レノ ナタリー・ポートマン ゲイリー・オールドマン

心優しきヒットマン

中年スナイパーと心に傷を負った少女が心を通わせる物語。しかし、その愛情が単に父子的なモノだけでなく恋愛ともとれそうな点は、いかにもリュック・ベッソンらしいと言うべきであろうか。

とにかく主要3キャストの演技が見もの。ジャン・レノは寡黙で不器用ながら仕事はパーフェクトな殺し屋を演じている。その容姿は決して洗練されてはいないのだが、独特であり、大人の色気を感じさせスタイリッシュに感じる。

ゲイリー・オールドマンの狂気もすごい。当時、日本の俳優で本作の彼をイメージして役を演じたといったコメントを耳にしたし、そういったコメントはないにしろ、明らかに意識しているだろうと感じる俳優もいた。もしくは、現在でも意識している俳優がいるのではないだろうか。本職の俳優に影響を与える程のインパクトが充分伝わってくる。

そしてナタリー・ポートマン。もはや子役ではない。年相応の幼き容姿と無邪気さ、ぬいぐるみを手離せない子供心と、相反するまさに妖艶と言えるような大人びた振る舞い。素晴らしいという言葉では納まりきらない程の演技を見せてくれる。

そんな彼女の力量が恋愛作品ともとれる作品にしている。クライマックスの抱擁シーンの足のアップは、キスシーンでありがちな女性がかかとを上げる足下のアップのシーンを思い起こさせる。大人の男女以上の身長差、あるいは年齢差、恋愛なのか、そうじゃないのか。集約された興味深いシーンだと思う。

恋愛なのか親子のような愛なのかは別にして、明らかに大事なモノが欠落している同士は心を通わせる部分があったのだろう。不器用な男の不器用な愛情表現は心を打つ。

ラストシーンと直結しているようなエンディング曲も素晴らしい。私は映画を見終わったその足で、この曲が収録されているスティングのアルバムを買いに行った。


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