自分勝手な映画批評

消されたヘッドライン 消されたヘッドライン
2009 アメリカ/ イギリス 127分
監督/ケヴィン・マクドナルド
出演/ラッセル・クロウ ベン・アフレック  レイチェル・マクアダムス
ある雨の夜、黒人青年が射殺され、その場を通りかかったピザ屋の配達員が狙撃 された。翌朝、新聞記者のカル(ラッセル・クロウ)は現場に赴き取材をする。 その頃、民間軍事企業ポイントコープに対する公聴会の調査員のソニア・ベーカ ー(マリア・セイヤー)が駅で地下鉄に跳ねられ死亡する。

新聞記者が求めた真実

イギリスのテレビ ドラマ「ステート・オブ・プレイ〜陰謀の構図〜」のリメイク。物語は正義と悪 を新聞記者の目線でとらえた、骨太のストーリーだ。

考えてみれば、記 者というのは事件を描いた作品、取り分けミステリー作品の主人公としては適し た職業だ。それ以上に適しているのは刑事であり探偵なのだろうが、刑事や探偵 が謎解きに直結している職業であるのに対し、記者は少し違った立場で事件に関 わるのが面白味であろう。

事件の解決が記者の仕事ではない。事件を伝 える事が彼らの職務なのだ。そういった面が如実に現れているのが、 クライマーズ・ハイだ。あくまでも事件と一線を引き、嫌に感じる部分も含 め新聞記者たちのプロフェッショナルぶりが クライマーズ・ハイでは描かれている。

しかし、本作は少々趣が異 なる。それは扱う事件の本質が違うからであろう。記事に深みを持たせる為には 、事件の真相を暴かねばならない。だが本作での真相を追い求める行為は、ある 意味、記者としての仕事の範疇を越える事にもなってしまう。その辺りの難しい 立ち位置が上手く描かれているのと同時に、上手い具合に主人公の目線でミステ リーの渦中に引き込まれて行く。複雑で多岐に渡るストーリーは上質のミステリ ーだと言えるだろう。

また、教訓と言ったら大袈裟だが、本作のテーマ の1つとして掲げられているのは正攻法の大切さではないかと思う。「終わり良 ければすべて良し」も一理あるのだが、例え結果や答えが正しくても、そこに行 き着く過程が間違っていれば、すべてが水の泡になってしまう事もある。その過 程で許されざる過ちを犯したのであるのならば、正しい結果や答えは、もしかし たら永久に抹殺されてしまうのかも知れない。そんな、やるせない心情も本作の 特徴であり作品に深みを与えている。

主演のラッセル・クロウが渋い。 長髪にヒゲ面、ヨレた服装で、しわくちゃな紙幣をおもむろにポケットから出し そうな新聞記者風情は実にラッセル・クロウに似合っている。この加齢臭を漂わ せる大人の魅力は今日ではあまり重宝されないのかも知れないが、是非とも絶滅 させてほしくないように思う。

彼はオンボロの古いサーブに乗って登場 する。日本でもバブル期に街中でよく目にした記憶のある車の成れの果てだが、 実に良い味を出している。アメリカン・ギ ャングスターでのひねりの効いたフォルクスワーゲンも印象に残ったが、も しかしたら、この辺りのセンスはラッセル・クロウ自身によるものなのかもと想 像してしまう。


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