自分勝手な映画批評
旅するジーンズと19歳の旅立ち 旅するジーンズと19歳の旅立ち
2008 アメリカ 119分
監督/サナー・ハムリ
出演/アメリカ・フェレーラ アンバー・タンブリン アレクシス・ブレデル ブレイク・ライヴリー
祖父の葬儀の為にギリシャを訪れたリーナ(アレクシス・ブレデル)。そこでリーナはコスタス(マイケル・レイディ)と再会し、彼にまだ気持ちがある事を告白する。しかしそこにメディアという女性が現れ、コスタスはメディアを自分の妻だとリーナに紹介する。

ジーンズが見守った友情の曲り角

原作はアン・ブラッシェアーズの小説「トラベリング・パンツ ジーンズ・フォーエバー」。旅するジーンズと16歳の夏の続編。

前作同様、4人の女の子それぞれを主人公とした4つのストーリーが展開される。だが、大きく異なるのは、彼女たちは高校を卒業し、それぞれが違う大学に進学して今は別々の土地で離れて暮らしている点だ。新たな生活をスタートさせ、それぞれの道を歩みだした彼女たち。身近ではなくなった友情の行方も気になるところである。

成長と変化は根本的に異なる。しかし巧妙に重なり合う面もあるのではないかと思う。年齢に伴い成長するという事は、自分の懐のキャパシティーが広がる事でもあるのだと思う。ただ、いくら広がったといっても限界はあるだろう。全てを受け入れる事は不可能だ。

ならば、受け入れる事を拒むか、あるいは今あるモノを捨てるしか解決策はない。今あるモノを捨てて新しいモノを手に入れるのであれば、それは変化であるだろう。

全部を入れ替える事はないだろうが、人は成長過程で何かを受け入れる為に何かを捨てる作業を行なっているのだと思う。ある意味、それは仕方のない事であろう。ただ、その選択を間違えれば、大切なモノを失う事になるだろう。

前作のエンディングがしっかりと結ばれていた事を考えると、完結していた物語にわざわざ続編をこしらえ、つなぎ合わせたかにも思える本作。しかし本作を観れば、彼女たちの成長物語は前作だけでは不完全だったのだと強く実感させられるだろう。

それだけ本作は、大きな意味を持つ続編であり、さらには本作がある事により前作の価値も一層高まったのではないかと思う。また、前作からの月日の経過を極めて自然でスムーズに感じさせる実に見事な描き方も両作の継続性と結び付きを強固にしていると言えるだろう。

完結した物語の先の展開、登場人物たちの後の姿を想像したくなる作品があるが、それを実現してくれているような感覚と満足感が本作からは得られるように思う。叶う事なら、この先の彼女たちも見てみたい。


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