自分勝手な映画批評
旅するジーンズと16歳の夏 旅するジーンズと16歳の夏
2005 アメリカ 119分
監督/ケン・クワピス
出演/アンバー・タンブリン アレクシス・ブレデル ブレイク・ライヴリー アメリカ・フェレーラ
母親同士が同じエアロビ教室に通っていた関係で、生まれる前から縁があり、ずっと苦楽を共に過ごしてきた4人の少女。高校生になり、夏休みを迎えた彼女たちは、立ち寄った店で、4人とも体型が違うのにもかかわらず、何故か4人にフィットする不思議なジーンズに出会い、購入する。

ジーンズが見守る少女たちの成長

原作はアン・ブラッシェアーズの小説「トラベリング・パンツ」。女子高生4人の夏休みの出来事を描いた作品。

友情とは、何歳になっても掛け替えのない大事なものであるのは間違いないだろう。ただ、とかく若い時代は身近に感じられるのではないかと思う。本作には、産まれた時から常に一緒の親友4人の友情が描かれている。ただ、本作がユニークなのは、舞台となる場所を別にした、4人それぞれを主人公とした4つのストーリーが展開する点である。

夏休みに、祖父母のいるギリシアに行く者。サッカーの合宿でメキシコに行く者。両親の離婚により離れて暮らす父に会いに行く者。地元に残りアルバイトに励む者。彼女たちは、仲違いから離ればなれになった訳ではない。それぞれの事情により別々に夏休みを過ごす事になったのだ。

もちろん友情は固く結ばれたまま。その証を端的に表したのが1本のジーンズ。4人それぞれ体型が違うにもかかわらず、何故か皆に同じようにフィットしてしまう不思議なジーンズを彼女たちは魔法のジーンズだと称し、離れて過ごす彼女たちの間を行き来させる事にする。

少女時代ならではの無垢で微笑ましい発想だと思う。それが象徴するかのように、本作には児童文学的な雰囲気が漂う。それは健全で優良な青少年作品だという捉え方が出来るだろう。だが、皮肉を言えば、決して本作で描かれている内容が平坦な訳ではないのだが、刺激が不足しているとも言えるのかも知れない。

ただ、私はそれで良いのだと思う。確かに、常識では計り知れないような過激なストーリーや描写は観る者を興奮させる。しかし、その事ばかりがエンターテインメントの醍醐味ではないだろう。本作で描かれている若者たちの清々しい成長の物語は、観終わった後に爽やかな残り香を感じさせる。

「アグリー・ベティ」のアメリカ・フェレーラ、「ゴシップガール」のブレイク・ライヴリー等、若き才能の輝きも本作の見どころであろう。そんな中、主役の4人よりも幼いのだが、作品にアクセントをつけるジェナ・ボイドの演技も印象に残る。


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