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懐かしい子供時代の思い出と共に 原作はスティーヴン・キングの「恐怖の四季」の中に収められた小説。1950年代のアメリカ・オレゴン州の田舎町に住む少年4人の死体探しの冒険を描いた作品。さながらトム・ソーヤーの冒険のような趣を持った作品だ。 私も本作の主人公達、あるいは、もっと幼い頃の冒険は楽しかった。もっとも、学校では危ないから立ち入ってはいけないと言われる場所に行ったり、小学校の学区外に出たり、となり街へ自転車で行ったりだとかいう、今思えば、冒険とは言えない程度の行動なのだが、親や先生には内緒のスリルと世界が広がった喜びを楽しんでいたのだろう。 そんな過去の自分をどこか重ね合わせているのだろう、本作を観て面白く感じるのは、決して本作どおりの実体験をしている訳ではないのだが、何故か自分の古いアルバムを見て懐かしむような錯覚に陥ってしまう点だ。 主人公4人はティーンエイジャーといっても、ハイティーンではなくローティーンだ。本作と近い年齢の少年を主人公にしたアウトサイダーと比べると、本作の方が、少年の描き方は子供っぽく、それゆえ、描かれる心情も理路整然としているように感じる。 そうなるのも、主人公4人よりも上の世代、キーファー・サザーランド演じるエースをリーダーにした不良グループが比較対象として描かれている点が大きいように思う。この二組の目的・行動は同じ。だが、何かが違う。 エースを本作の主人公にしたのならば、アウトサイダーのような釈然としない若者の心境を描いた作品になっていただろう。その年齢まで達しない子供達だからこそ、トム・ソーヤーのようであり、冒険と呼ぶに相応しい内容になっているのだと思う。 ただ、幼き彼らにも悩みはある。学校生活や、そこでの仲間との楽しみといった接点はあっても、幼いながらもそれぞれの背景は異なり抱える苦しみも違う。その辺りがしっかりと描かれているのが本作の秀た点であろう。しかもそれは、くり返しになるが、釈然としない心境でははい。理由なき反抗ではない。こういった描き方は共感するのに容易いのではないかと思う。 そういった描写が成立するのも、主人公4人の演技が優れているからである。ナイーブなウィル・ウィートン、狂気を秘めたコリー・フェルドマン、気の小さいジェリー・オコンネル、そしてリーダーシップを感じるリバー・フェニックス。若くして亡くなったリバー・フェニックスにとって代表作の1つとして挙げられる本作だが、きりっとした表情はスターの片鱗を感じさせる。と同時に、少しふくよかな体型は可愛らしくも感じる。 本作のタイトルにも用いられている主題歌スタンド・バイ・ミーは、1960年代のベン・E・キングの名曲。公開当時、本作とは関係ないところでもかなりヘビーローテーションされていた記憶があり、それ以降もジョン・レノンのカバーも含め、現在まで絶える事なく頻繁に耳にする機会のある究極のスタンダードと呼べる楽曲ではないかと思う。 それもあってか、よく音楽を聞いて映画を思い出す事があるが、この曲に関しては私にはそういった感覚はなく、ひとつの独立した、程よく湿り気のあるスマートな優れた楽曲として思い入れがある。逆に作中で歌われたロリポップは、こちらもスタンダードな曲に違いはないのだが、本作ならではの楽しさがある。 |
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