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色褪せない黄金 原作はS・E・ヒントンの小説。不良少年達の青春を描いた作品。ある年代の人達には思い出深い作品なのかも知れない。 本作はストーリーはもとより、そのストーリーの見せ方も実にオーソドックスな造りをしており、まさに青春映画の王道と言える作品であろう。同じ青春映画でコッポラ監督も製作に携わっているアメリカン・グラフィティと作風の違いを見比べるのも面白いと思う。 本作の根底にあるのは格差であり、その隔たれた間柄から生まれた対立や意識の違いが本作の基盤となっている。もはや使い古されてはいるのだが、現代でも数多く用いられ重宝されるスタンダードな構図である。 そんな中での、一個人としての心情、アイデンティティーが本作のテーマとなっている。自分が属している集団での共有する価値観の中で、それとは別の1人の人間としての思い、立場をも超越する普遍的な心情と、そこから来る苦悩は共感を持ってリアルに感じとれるのではないかと思う。 学があろうがなかろうが、環境に恵まれていてもいなくても関係ない。いくらやさぐれても失ってはいけない大事な心。悪ぶってはいても無垢な少年だから、あるいは痛みの分かる人間だからこそ得た心境なのかも知れない。そして流されずに根を張るその心は、いつまでも黄金色に輝くのだろう。 現代の作品よりもオーソドックスな描き方をしている分、また、抱える問題も、決して小さくなく大きくはあるが、現代の作品で取り沙汰される複雑で、異常と思える程エスカレートした問題に比べれば、人間味を感じる分、力強くストレートに伝わるのではないかと思う。くしくも、世情が変わってしまった現代では、本作の存在自体がステイ・ゴールドになってしまったような気がする。 主人公ポニーボーイを演じるC・トーマス・ハウエルが、ジェームス・ディーンからの系譜に連なるようなナイーブな不良を好演。彼の寂し気な面持ちは、明らかに青春の香りを感じさせる。マット・ディロンも実に良い。大人になってからの彼も素晴らしいのだが、若き日の不良役には他を寄せつけない存在感がある。 また、他にもトム・クルーズ、エミリオ・エステベス、ダイアン・レイン、パトリック・スウェイジ、ロブ・ロウといった後のビッグネームが出演している。それも本作の特徴だろう。 不器用で打ち拉がれた若者の心をスティーヴィー・ワンダーの歌声が優しく包み込む。 |
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