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バルセロナの魔法にかかったアメリカ人 スペインのバルセロナを舞台に、アメリカ人旅行者と現地のスペイン人とが織り成す恋愛群像劇。 本作は、まがうことなくラブストーリーだ。ラブストーリー以外の何ものでもない。しかし、のめり込み過ぎてしまったラブストーリーは、世間一般で認識されているラブストーリーの鋳型には収まりきらず、ステレオタイプな原形を留めなくなる。外国での恋物語という設定は同じでも、王道ローマの休日とは、かなり毛色が異なる作品に仕上がっている。 本作で描かれているバルセロナは自由な恋愛の桃源郷だ。もちろんバルセロナに罪はない。色欲の都に仕立て上げたのは、ハビエル・バルデム演じる画家のフアン・アントニオのフェロモンたっぷりの魅力の所為。 そんな経験した事のない異国の誘惑に、遥々バルセロナに訪れたアメリカ人女性2人は、1人は進んで、1人は抑えきれずにまんまと陥って行く。さらに、そこに強烈な個性が加わって、収拾が難しくなって行く。 面白いのは、それぞれが自分に無いモノへの憧れ、そして自分に無いモノを補う為に恋愛に臨んでいる事だ。だからといって、決して打算的には思えない。むしろ本能に委ねているように感じる。しかし、根本的に自分本位の思惑ばかりでは、なかなか上手く事は進まないのだろう。 人間の心情の奥底を露にする描き方は、いかにもウディ・アレンらしい。極端な場面転換は作品に軽妙なテンポをもたらす。それはバックに流れるギターの小気味良い音色と呼応している。しかし、その曲調はどことなくメランコリック。それも作風に合っていると言えるだろう。 本作で情熱のスペイン女性を演じたペネロペ・クルスは第81回アカデミー賞助演女優賞を受賞している。 |
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