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2代目の苦悩 ゴッドファーザーの続編。第47回アカデミー賞作品賞・監督賞・助演男優賞(ロバート・デ・ニーロ )・脚色賞・作曲賞・美術賞受賞作品。 本作には二人の主役が存在する。その事自体は前作と同様だが、前作は同一のストーリーの前後半で主役が交代したのに対し、本作には異なる2つのストーリーが存在し、それぞれに主役を配している。しかも、そのストーリーは、作中、交互に展開する。 1つの作品に2つのストーリーが混在するのは、ややこしくはあるのだが、明らかに時代や登場人物が違うので混乱には至らないであろう。逆に、ストーリーを比べられるので、その意味では有意義であろう。 1つ目のストーリーは前作でマーロン・ブランドが演じたビトーの生い立ち、若かりし日を描いたストーリー。さながら「バットマン ビギンズ」ならぬ「ゴッドファーザー ビギンズ」といった内容で、ビトーがゴッドファーザーになるまでが描かれている。 若きビトーを演じたロバート・デ・ニーロは全てイタリア語の台詞ながら、その演技でアカデミー賞助演男優賞を受賞している。順序は逆だが、前作のマーロン・ブランドに繋がるようなデ・ニーロの演技は素晴らしい。だが言い換えれば、これも逆説的になるが、マーロン・ブランドの前作での演技がデ・ニーロの素晴らしさを引き出したと言えるのではないだろうか。このストーリーを観て、再度前作を観直すのも、ビトーの人物像をより理解出来て面白いだろう。 もう1つのストーリーは前作からの続き。ファミリーのドンとなったマイケルの姿を描いている。 作品を跨がず、父ビトーの存在を意識させる事で、彼らの違いが一層明確に感じられる。時代や年齢が違う点は大きいのだろうが、自ら築き上げて掴んだ地位と予め用意された地位に収まるのとでは、どうやら違いがあるようだと私には感じた。また、前作の冒頭で絆ありきを意識させた事も、しっかりと効いているのだと思う。 本作で1つのポイントとなるのがキューバ革命だ。この史実をストーリーにリンクさせる方法は実に上手い。そもそも、シリーズの登場人物には、全てではないだろうが、モデルが存在するらしいので、史実をモチーフにする姿勢がゴッドファーザーには根本的にあるとは思うのだが、大事件の間近で繰り広げられる出来事は、事実かどうかは別にしても、興味を引き起こされるのではないかと思う。 ゴッドファーザーシリーズはアル・パチーノやロバート・デ・ニーロをブレイクさせた作品のようだが、その一方で本作には、マフィアの大物ロス役でリー・ストラスバーグも出演しているのが面白い。彼はアクターズ・スタジオで後のビッグスターを何人も演技指導してきた演劇界の超大物らしい。駆け出しのニューカマーとマスターとも言える大ベテランの共演は大変興味深い。 その他の出演陣は続編なだけあって、前作から引き続きの顔ぶれが多い。そんな中でも、マイケルの兄フレドを演じたジョン・カザールとビトーの代からの古株フランクを演じたマイケル・V・ガッツォの演技が印象に残る。どちらもキーとなる役で見せ場も多いのだが、しっかりと役割をこなし、それぞれの個性で違った哀愁の魅せ方をしている。 |
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