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我が道を行く男同士の戦い 警察とチャイニーズマフィアの抗争を描いた作品。両者の関係で抗争という言葉を用いるのは、通常であればそぐわないのだが、本作にはその言葉が適しているだろう。 根底にあるのは、警察とマフィアの歪んだ関係だ。それを癒着と称するのはオーバーなのかも知れない。見て見ぬ振りの持ちつ持たれつの関係と言えるのかも知れない。そして、ともすれば、その関係性が社会秩序を維持しているとも言えるのかも知れない。ただ、いずれにせよ、正常な状態ではなく、誤りを積み重ねた関係である事は間違いない。 そして、その関係は、それぞれの内部事情の変化により崩壊する。マフィア内では実権を握ろうとする若者が、なりふり構わぬ卑劣な行動に出て、さらには自らの力量を示す為、裏稼業をエスカレートさせて行く。一方、警察では、マフィア撲滅の為、裏返せば、腐敗した組織に一石を投じる為、新任警部が孤軍奮闘する。 両者の抗争は、マスメディアを巻き込んで行く。さらにそこに、国家、民族、人種、偏見、差別、家庭、恋愛、そしてベトナムといった要素が絡み合う。 多くを詰め込みすぎた感はあるのだが、その事が本作の描く渾沌とした激しさをより鮮明にする。本作は、どの角度から観てもバイオレンスだ。作品を構成する要素が多い為、シーン数もかなり多い。それゆえ、矢継ぎ早に展開されるのだが、まさに息をつく暇もない、次から次へと怒濤の波が押し寄せてくる感じだ。 本作は、少なくとも日本では、近い時期に公開された「ナインハーフ」と共に、ミッキー・ロークがブレイクした作品だと言えるだろう。また、ジョン・ローンにとっても同じ意味合いを持つ作品ではないかと思う。作品の内容自体、大変見応えがあるのだが、それとは別に、私の勝手なイメージだが、新しいスターを送り出した作品といった印象がある。 今でもアジア系の俳優のハリウッドにおいての目に見えて分かりやすい活躍は乏しいのだが、今以上に狭き門であったであろう当時、彗星のごとく現れた中国系俳優、ましてや当時、中国(香港)映画と言えば、おおよそカンフーであった時代に、カンフー使いではない中国系俳優の登場は、とても新鮮に感じた。実際、登場の華々しさに相応しい活躍を本作で魅せる。ジョン・ローンのオリエンタルで端正な佇まいでの存在感は、本作に不可欠な独自の色をもたらしている。 当時、ミッキー・ロークはジェームス・ディーンを彷彿とさせるような俳優のように感じた記憶がある。とにかく、本作では彼のアクの強さが際立つ。いかにも彼らしい、自己主張の強い出で立ちや、喜怒哀楽の表現は、ともすれば、やり過ぎのようにも思え、浮いているようにも感じるのだが、彼の演じるスタンリーの朱に交わらないキャラクターを彼の個性と融合させて、上手く表現していると言えるだろう。 ミッキー・ロークのキャリアを現時点で振り返ると、刑事役は珍しいし、決してスタンダード・オーソドックスではないのだが、ある意味、エンターテインメントの主流である本作のような作品での主演も稀なように思う。そういった面も踏まえて考えると、作品からはみ出すような異彩として感じられるのも当然なのかも知れない。 アメリカの警察とアジア系犯罪組織との対決という共通点を持つブラック・レインと見比べるのも面白いのではないかと思う。 |
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