自分勝手な映画批評
トランスポーター2 トランスポーター2
2005 フランス/アメリカ 88分
監督/ルイ・レテリエ
出演/ジェイソン・ステイサム アンバー・ヴァレッタ アレッサンドロ・ガスマン
駐車場で待機するフランク(ジェイソン・ステイサム)。腕時計のアラームが時を知らせ、出発しようとすると、若い女が現れ、フランクに銃を向ける。

出来ない約束はしない

トランスポーターの続編。とは言っても、前作からの絶対的な繋がりはさほどなく、本作だけでも楽しめる作品だと思う。舞台は前作のフランスからアメリカ・マイアミへと移り、主人公フランクの愛車はBMWからアウディに変更されている。

舞台も車種も変われど、前作同様に派手なアクションが展開されるのだが、面白く思ったのは、どんなに派手なカーアクションが繰り広げられても、最後までアウディはピカピカのままなのである。もちろん、ぶっ続けでシーンを撮影している訳ではなく、また、日にちも跨ぐのだろうから、シーンとシーン、カットとカットの繋ぎ合わせの面の面倒を考えて、あえて全て綺麗な車にしてしまったのかも知れないが、それにしても極端であり、どこかマンガチックな作風を象徴しているようである。

ただ、本作は前作に比べ、あらゆる意味でスケールアップしている。特にストーリーには進歩が伺える。前作では、まずアクションありきで構成されたストーリーにも思えたのだが、本作は、ストーリーがしっかりあり、そこに必要なアクションを盛り込んだように感じる。この、しっかりと練られたストーリーが、作品の完成度を全体的に押し上げているように思う。

とは言っても本作の面白さは、荒唐無稽なアクションであり、それゆえのマンガチックな作風である。いくらストーリーをしっかりさせたと言っても、複雑で難解にこね繰り回している訳ではない。テーマパークのアトラクションのようなショーマンシップは健在で、その精神に基づいた楽しませ方がグレードアップしたと言えよう。

常に眉間にシワのジェイソン・ステイサム演じるフランクは、本作のスケールアップ感と同様にキャラクターに広がりを感じさせる。逆に言えばフランクの変化、あるいは成長が、本作のスケールを大きくしたと言えるのかも知れない。

本シリーズを支える柱となっているのは、フランクが自らに課するいくつかのルールだ。それを厳格に守るからフランクはプロフェッショナルなのだが、本作で彼を突き動かすルールはもっとも根本的だ。それは仕事に関してではなく、自分が自分である為のルール。出来ない約束はしない。だからこそフランクは、危険を、自らの命を顧みずに立ち向かう。マンガチックではあるが、パーフェクトなハードボイルドがここにある。


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