自分勝手な映画批評
幸せのレシピ 幸せのレシピ
2007 アメリカ 104分
監督/スコット・ヒックス
出演/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ アーロン・エッカート アビゲイル・ブレスリン
マンハッタンのレストランでシェフを勤めるケイト(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は店のオーナーのポーラ( パトリシア・クラークソン)に言われセラピーを受けているのだが、なかなか上手くいかず客ともめ事を起こす。

女と男と女の子の不思議なトライアングル

独身キャリアウーマンの奮闘を描いた作品。ドイツ映画マーサの幸せのレシピのリメイク。オリジナル版と設定はほとんど変わらず、ストーリーもほぼ同様に進んでいくが終盤が異なる。

それ以上に異なるのは作品の雰囲気・テイストだ。オリジナル版では独身キャリアウーマンの悲哀がひしひしと感じられるが、本作ではそれ程感じない。理由のひとつとしては主役を演じたキャサリン・ゼタ=ジョーンズであろう。彼女の元来のフェミニンなエレガントさからギスギスした嫌味な感じでなく、逆に奮闘振りがチャーミングに映る。それとオリジナル版以上に子供の存在をクローズアップしているのも大きい。時には大人びたおしゃまな子供ゾーイを演じるアビゲイル・ブレスリンの演技も最高だ。

オリジナル版同様、過去を深く掘り下げるようなことはない。しかしオリジナル版が生い立ちや経歴等、過去からつながっているであろうある種の哀愁を感じるのに対し、本作はまるでその期間だけを切り取ったような感覚を覚える。それは前述したキャサリン・ゼタ=ジョーンズ元来の魅力であると同時に、登場人物の設定がオリジナルより大人である事に既存するのではないかと思う。だから強い感情移入や自分に置き換えるのではなく、まるで隣人が口出しする事なく優しく見守るような感情で本作を見た気がします。だからといって決して駄作ではなく、むしろ私と登場人物との距離感が心地よい秀作だと思う。

そんな中、今が幸せなら過去を忘れてしまう残酷な現実、そんな自分を嫌悪する優しい子供心には一気に心を動かされた。


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