自分勝手な映画批評
マイ・ボディガード マイ・ボディガード
2004 アメリカ/メキシコ 146分
監督/トニー・スコット
出演/デンゼル・ワシントン ダコタ・ファニング クリストファー・ウォーケン
酒浸りの日々を送っているクリーシー(デンゼル・ワシントン)はメキシコに居る友人のレイバーン(クリストファー・ウォーケン)を訪れた際に、レイバーンからボディガードの仕事を紹介される。

迷える羊が捧げた命

原作はA・J・クィネルの「燃える男」。メキシコを舞台にした、ある少女と出逢った男の生きざまを描いた作品。

本作にはクリストファー・ウォーケンやミッキー・ロークといったクセのある俳優も出演している。しかし、彼らが本作に貢献していない訳ではないのだが、一言で言えばデンゼル・ワシントンの独壇場、彼が演じた主人公のクリーシーの生きざまに焦点が当てられた描き方を本作はしている。

だが、そんな男の人生に唯一入り込んでくるのがダコタ・ファニング演じる少女ピタだ。

人が「変わる」にはキッカケを必要とする事もあるのだろう。それは環境かも知れないし、人との出逢いなのかも知れない。また「変わる」と言うよりも「立ち直る」と言う方が適している場合もあるのかも知れない。落ちぶれていたクリーシーだが、ピタと出逢い、新たな人生の一歩を踏み出す事になる。

ダコタ・ファニングに限らず映画に出演している子役達は、その作中で、皆、素晴らしい魅力を振りまいてくれる。だが、その高いアベレージの事実を裏返せば、圧倒的な技量がなければ作品にキャスティングされない事を意味するのではないかと思う。それは大人の俳優に比べて過酷な状況であろう。ダコタ・ファニングも、その御多分に漏れず、本作で実に素晴らしい演技を魅せてくれる。

クリーシーとピタの関係はレオンを彷佛とさせなくもないが、レオンがどこか裏に秘めた恋愛要素を連想させるのに対して、本作にはそれを感じないのが大きな違いだろう。本作の2人は、しっかりとした大人と子供の関係であり、それはどこか父と娘にも似ているように感じる。

そんな2人に突然悲劇が訪れる。しかし、正気を取り戻した男、心身共にエネルギーが漲る男を怒らせてはいけない。そんな男を怒らせたら最後、なりふり構わず、全身全霊で地獄の底まで追いつめられる事になる。


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