自分勝手な映画批評
ゲッタウェイ ゲッタウェイ
1972 アメリカ 122分
監督/サム・ペキンパー
出演/スティーブ・マックイーン アリ・マッグロー
刑務所に服役中のマッコイ(スティーブ・マックイーン)は仮出所の申請を出すのだが、却下されてしまう。マッコイは面会に来た妻のキャロル(アリ・マッグロー)に「ベニヨン(ベン・ジョンソン)に言い値で俺を売ると言ってこい」と告げる。

本当の自由を求めた逃避行

銀行強盗をした夫婦を描いた作品。

かなり娯楽性の豊かな作品だ。とは言っても、クエンティン・タランティーノが好みそうな娯楽性であり、どこかB級チックな雰囲気が漂うように感じる。

スティーブ・マックイーン演じる主人公のマッコイは、刑務所を出所する条件として、銀行強盗を強要される。この時点で、いかがわしさがプンプンと臭ってくる。出所の可否を左右する、しごく真っ当な立場の人間の信用が置けないのならば、自然と世の中の多くが信用出来ないだろう。

加えて銀行強盗という難儀な仕事。この銀行強盗をきっかけに、当たり前のように附随する警察からの逃亡劇、そして信用出来ない者たちとの攻防、さらには極限で疑心暗鬼な状態でのパートナーとの信頼関係と、様々な要素をちりばめながら慌ただしく物語が推移して行く。

バイオレンスを交えたスリリングでスピーディーな展開。緊張感と緊迫感が支配する怒濤の状況の中で、スティーブ・マックイーンの男としての存在感が一段と光る。

余談だが、夫婦を演じたスティーブ・マックイーンとアリ・マッグローは、本作の共演をきっかけに結婚している。(後に離婚)

また蛇足ではあるが、007/慰めの報酬に本作の影響が垣間見れる。本質は違うのだが、男女二人の逃亡劇という共通点。だが、それ以上にビジュアル的に本作を手本にしているように思う。どことなく容姿が似ているダニエル・クレイグとマックイーンのスーツ姿もさる事ながら、荒野をさまよう姿は本作と瓜二つである。


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