自分勝手な映画批評
フィフス・エレメント フィフス・エレメント
1997 フランス/アメリカ 126分
監督/リュック・ベッソン
出演/ブルース・ウィリス ミラ・ジョヴォヴィッチ イアン・ホルム

リュック・ベッソンが描くSF世界

SF・未来を描いた作品では、その世界の描写、衣装や美術デザイン、具体化するCG等が作品の善し悪しに大きく関係してくるが、その点において本作は素晴らしい世界観を見せてくれる。特にニューヨークの描写、町並みや黄色いタクシー、主人公コーベンの住むアパートは現在の要素を上手く踏まえつつ、未来を具現化している。設定の世界観だけで言えば、スターウォーズとブレードランナーの中間あたりの印象だ。

本作のテーマ・ストーリーの本筋はSF・未来モノの多分にもれず壮大なのだが、コメディ色もかなり強い。コメディ部分の多くを担っているのはクリス・タッカー。彼のキャラクターは本当に面白い。他にも神父役のイアン・ホルムもとぼけた味を出しているし、リュック・ベッソンの前監督作レオンで強烈なイメージだったゲイリー・オールドマンは芸達者な彼らしく一風変わった悪役を演じている。ヒロインを演じるミラ・ジョヴォヴィッチのオレンジ色の髪は公開時に強く印象に残ったのだが、演技も素晴らしい。本作の内容にはそぐわない表現ではあるが、野生児のような人物を実に可愛らしくユーモラスに演じている。

公開時、まだまだダイ・ハードのイメージが残っていたブルース・ウィリスが彼らしい泥臭いアクションシーンを見せるのだが、同じアクションを演じるにせよ本作やパルプ・フィクションのような単なるアクション作品とは言えない作品に出演することにより、単なるステレオタイプのアクションスターではなく幅広く役柄を演じられるキャリアの軌跡の一歩のように思う。


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