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東京から20cmの場所で… 梁石日の同名小説が原作。幼児の人身売買・売春がテーマとして描かれており、内容は極めてショッキングだ。 本編のおよそ半分はタイを舞台にしている。タイでの会話はほぼタイ語であり、その為日本語の字幕が入る。さらには現地タイでの撮影は日本国内では感じ得ることができないダイナミックさがあり、ドキュメンタリータッチとまではいかないものの臨場感をもたらしている。そのような点から少し日本映画とは異なる印象を感じる。 本作のストーリー自体はフィクションであろう。だが、描かれている内容はどうやらフィクションとは言えないようだ。不快な描写が多く、直視できず、思わず目を背けたくなる。気分を害し、後味も悪い。現実として絶対に肯定は出来ない。 旅の恥は掻き捨てというが、決して掻き捨ててはいけない現実であり、ましてや恥といったレベルではない。歪んだ世界の末端が悲劇として露呈している。それは強者と弱者との図式でもある。その弱者の最たるが何の罪もない子供たちなのだ。 子を思う親の心情は理解出来るが、目を瞑れる話でもない。宮崎あおいの青臭さが目立ったが、彼女こそが揺るがしてはいけない人としての尊厳を貫いている。 私は江口洋介は優れた俳優のひとりだと思うのだが、演技派という印象は持っていない。だが本作での彼の叫びには役者としての彼の違う一面が感じられた。 |
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