自分勝手な映画批評
ワンダとダイヤと優しい奴ら ワンダとダイヤと優しい奴ら
1989 アメリカ 108分
監督/チャールズ・クライトン
出演/ジョン・クリーズ ジェイミー・リー・カーティス ケヴィン・クライン
ワンダ(ジェイミー・リー・カーティス)達4人は宝石強盗を企て成功する。今回の計画に初めて参加するオットー(ケヴィン・クライン)はワンダの兄と紹介されていたのだが…

バカって言うな!

盗んだダイヤの行方をめぐる攻防を描いたコメディー。

盗んだダイヤをめぐっての仲間割れ・騙し合い。犯罪を取り上げる作品のテーマとしては実に面白く、コメディータッチを入れつつも、スタイリッシュな味付けをしてセンスの良い作品に仕上げる事も可能ではないかと思う。特に現代の作品では、そういった方向に持っていったのではないかと思う。

しかし本作はドタバタなコメディー。しかも、そのドタバタ加減はハンパじゃない。低俗極まりない演出の数々。しかし悔しいが、下らないと知りつつも思わず笑ってしまう。決してスタイリッシュではない、優れた下品なセンスに思わず脱帽してしまう。

「人を笑わせるのは何より難しい」なんて話を聞いた覚えがある。私は詳しくないので実際には分からないのだが、確かにそうなのかも知れないとも思う。しかし、だからと言って笑いとは、神棚に掲げて崇めるものではないのだと思う。そんな思いをまじまじと本作は感じさせてくれる。

峰不二子のように目的の為に男を手玉に取る女。プライドは高いが単細胞な男。頭は切れるがはめられた男。動物愛護で口どもる男。そこに恐妻家の弁護士が加わり、おかしな人間模様が展開する。タイトルどおりの優しい奴らではないかも知れないが、チャーミングで愛すべき奴らではないかと思う。

ドタバタを引き起こす張本人とも言えるオットー役を演じたケヴィン・クラインは、本作で第61回アカデミー賞助演男優賞を受賞している。


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