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いいだろう、作戦実行だ 第二次世界大戦中にドイツとフランスの国境、ジークフリート線でドイツ軍と対峙する少人数部隊の姿を描いた作品。 まず私が興味を持った本作のポイントは、監督ドン・シーゲル、主演スティーブ・マックイーンという組み合わせだ。シーゲルといえば本作より後にダーティハリーをはじめとする数多くの作品でクリント・イーストウッドとタッグを組んだ監督である。 特別にライバル視されていた訳ではないようなので私の勝手な思い込みなのだが、出生年が同じで、スターとしての地位を掴んだのが西部劇だという点が共通しているマックイーンとイーストウッドには、どこか因縁めいたものが感じられる。実際にはイーストウッドと出会う以前ではあるのだが、イーストウッドに断然馴染み深いシーゲルがマックイーンをどのように料理するのかは気になるところである。 1944年、ジークフリート要塞戦の近くのフランスのモンティニーで待機する兵士たちの間では自分たちの任務は終わり、まもなく帰国するとの噂が流れており、兵士たちの気持ちは高揚していた。しかし帰国するというのは、あくまでも噂であり、実際にはジークフリート要塞戦への復帰の命令が下された。戦地へと戻った各隊合わせて100名程の兵士たち。だが、戻って早々に作戦が変更になり、16キロ北の予備部隊に合流する為に、この場を撤退する事となった。しかし、この区域を無防備にする訳にはいかず、第1小隊第2分隊の6人だけが残る事となった。 戦争を描いた作品はスケールが大きく、時として仰々しい事も多いように感じるのだが、本作はそういった作風とは一線を画していると言えるだろう。言い方は悪いが、第二次世界大戦を描いた作品としては小粒。だが、そうした事で濃密な戦争・戦闘の緊迫感がもたらされていると言えるだろう。また、モノクロ映像である事も、その雰囲気を増幅させているように感じる。 本作はおよそ2〜3日の物語であり、その中でもメインとして多くの時間を割いて描かれているのは僅か一晩の出来事である。しかも登場人物は男ばかりで皆が兵士。そういった事では展開力の乏しい作品だと言えるのかも知れない。 但し、舞台は手に汗握る敵との睨み合いが続く、生死の境である最前線の戦場である。こういった言い方は不謹慎ではあるのだが、そんな状況であるならば、目先を変える事などしなくてもすべてが物語になる。 絶対的な人数不足が招く不利な戦況。それでも知恵を用いて難局に立ち向かう手足れの兵士たち。だが皮肉にも、手足れた兵士がいる為に組織の統制に綻びが生じてしまう。最終的な目標は同じでも食い違う意見と対立する立場。緊迫した極限極地だからこそ繰り広げられる人間模様は見応えたっぷりである。 男の中の男。マックイーンがキャリアを通じてほぼ一貫して演じているのは、そういったキャラクターであるだろう。本作で演じるリースも多分に漏れず同様のキャラクターである。だが、マックイーン自身のキャリアの助走段階とでも言うべき時期に迎えた本作では、まだキャラクターは磐石ではない。若き表現者としてのマックイーンの演技は見ものである。 |
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