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そんな奴だが惚れてんだ、ダメな奴だが惚れてんだ 原作は大藪春彦の小説。警察に協力して潜入捜査を行なう探偵の奮闘を描いたアクション作品。 日本のハードボイルドな探偵モノの限界は、拳銃の使用が許されていない法律の下で物語が展開される点だと聞いた事がある。現実としての日本での銃規制の問題はさておき、確かにフィクションの世界ではスリルやアクションのダイナミズムにおいて足かせになっているのかも知れない。 本作では、主人公の探偵・田島は警察から銃の使用を許されている。その事で豊かなアクションシーンが成立しているし、しかも、許可を与える描写が存在する事で少しでも整合性を保つ試みがなされていると言えるだろう。 だがしかし、現実と照らし合わせれば明らかに荒唐無稽であると言わざるを得ない。それでも尚、突き進めるその力技は、現代作品では到底許されない製作された時代性を強く感じさせ、その他の面でも経年による古さは否めない作品であるだろう。しかし、それでも尚、楽しめる要素が存分に備わった作品であると思う。 二組の暴力団の構成員十数名の射殺死体が発見され、その場に居合わせた不審者一人の身柄を警察は確保した。警察は縄張り争いをしている暴力団同士の抗争だと考えていたのだが、探偵事務所23の田島は、最近頻繁に暴力団が取引の最中に襲われているとの情報を警察に提供。暴力団とは違う組織が絡んでいると示唆する。さらに田島は、銃の使用許可、偽造運転免許証、高額な手当てと引き換えに自分が捜査協力する事を提案する。 本作はコメディー要素を多く含み、テンポ良く進行して行く。但し、ストーリー中に緊張感を絶やさない事も忘れてはいない。警察に協力し悪の組織に潜入する田島だが、いつまで経ってもその組織からは信用されない。その加減は、しつこいぐらいにも感じるのだが、その事がストーリーの充実の大きな役割を果たしていると言えるだろう。 また、現代の感覚からは少し違うのかも知れないが、ファッショナブルである事も本作の特徴であろう。それは温故知新とも言うべき新たなイマジネーションを生み出す効果をもたらす事になるのかも知れない。 コミカルタッチでスタイリッシュなハードボイルド。そんな舞台に宍戸錠の少しとぼけたダンディズムが良く映える。初井言栄の関西弁も実に良い味だ。 |
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