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はじまりはいつも雨 難病を抱えている男とは知らずに、その男に恋をした女子高生の姿を描いた作品。原作はsinのケータイ小説。 琴線に触れる要素が存分に詰め込まれた本作。しかもそれらを、かなり正攻法を用いて描いている作品なのではないかと思う。その手法は決して悪い訳ではなく、大切な事を、より分かりやすく実感出来るという面では実に効果的だと言えるだろう。だだ反面、意地悪く言えば、あまりにも正直過ぎて、絶対的な独自性や、表立っていないからこそ感じられる奥深い味わいが欠けているようにも思える。しかし、その辺りを主演の佐々木希の瑞々しい魅力が十二分に補っているように感じる。 佐々木希が演じる女子高生の理央は、忌々しい過去の経験から援助交際、恐喝等を行なう、不品行な生活を送っていた。そんなある日、自分と名字が同じ関係で、谷原章介演じる35歳の大学講師の小澤と出会い、一瞬にして恋に落ちる。理央は彼の為に、自分の生活を改めようと決意する。 作中で、明らかな変化を見せる主人公の理央は、中々難しい役どころなのではないかと思う。正直、その役どころの重責を佐々木希が果たしているとは言い難い。しかしその事が却って、本作にあるべき初々しさをもたらしているように思う。いや、それ以上に、彼女のチャーミングな魅力が全てを凌駕していると言えるだろう。それこそ本作のハイライトであり、彼女のキャスティングは大正解だったのではないかと思う。 相手役の谷原章介も良い。彼のスマートでエレガントな個性は本作でも健在だ。佐々木希とのバランスも申し分なく、モデル出身の二人の2ショットは実に美しく絵になる。年の差カップルという設定の旨味を損なっているとも言えなくもないが、違った魅力を引き出しているように思う。 そういった事を含め、ストーリー自体は重い作品ではあるのだが、視覚や聴覚に訴えるスタイリング的には、かなり美意識の高い作品だと言えるのかも知れない。 そんな中、理央の友人役を演じる加賀美早紀が多少毛色の違う演技で存在感を示している。若いながらも本作に重みと安定感を与えている彼女の確かな表現力を用いた演技力には感心させられる。 |
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