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ルールを曲げたプロフェッショナル トランスポーターシリーズ第3弾。舞台は前作のアメリカより、再びフランス(を含むヨーロッパ)へと戻っている。 基本線はしっかりと守りながらも、1作目と2作目とで少々毛色が異なるように感じた本シリーズだが、本作は、前2作を上手い具合にミックスしているように感じる。2作目で感じたスケールの大きさはそのまま保ちつつも、ストーリー自体は1作目に近い。そう思えるのも恋愛要素を含んだヒロインと行動を共にするからであろう。 寡黙な男の恋愛模様というだけでも、効果的な旨味が発揮される、かなり惹かれる要素ではあるのだが、さらには、ナタリア・ルダコーワ演じるヒロイン役ヴァレンティーナの不可解なキャラクターが本作にとても良いアクセントになっている。彼女の存在は、観る者の感情を惑わし、揺さぶる役目を果たしている。 ただ、やはり見るべきところは、全編ノンストップで繰り広げられるアクションであり、それを引き起こす、2作目と同様の複雑な設定を基調とするストーリー展開であろう。 本シリーズは、カーアクションを売りにしているのは間違いない。だが、前の2作は優れたカーアクションではあったのだが、その頻度は決して多くはなかった。その辺りが、若干、不満に感じたりもしたのだが、本作ではその点を、車から離れると爆発するブレスレットをつけられているという特殊な設定を用いて解消している。ある種、強引とも思えるが、合理的な設定で、人馬一体ならぬ人車一体で、主人公フランクの愛車アウディでのパフォーマンスを思う存分味わう事が出来る。 本シリーズの特徴である荒唐無稽も臆する事ない作風は、ある意味、アメコミヒーローの実写版と通ずるところがあると言えるだろう。もちろんヒーローはフランク演じるジェイソン・ステイサムである。主人公であるので当たり前ではあるのだが、彼は本シリーズのかなり多くを担っている。 ヒーローである彼のカッコ良さはもとより、荒唐無稽なストーリーを現実に繋ぎ止めているのは彼の仏頂面であり、同時に、その仏頂面がコメディー要素も引き出していると言えるだろう。 それだけジェイソン・ステイサムに依存しているシリーズだと言えるだろうが、裏返せば、彼の魅力が存分に詰まったシリーズだと言えるだろう。 あれよあれよと難儀に巻き込まれて行く展開は、シリーズ共通。本シリーズの基本にあるのは、フランクが自らに課した厳しいルールだ。そのルールに支配され、翻弄されて物語を構築してきたのだが、その様相も3作目ともなると多少変わってくる。相変わらずポーカーフェイスのフランクではあるが、シリーズを通してフランクの人間性の変化、あるいは成長が感じられる点も注目したい。 |
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