自分勝手な映画批評
チャーリー チャーリー
1992 イギリス 145分
監督/リチャード・アッテンボロー
出演/ロバート・ダウニー・Jr アンソニー・ホプキンス
1894年、イギリス・オールダーショットの舞台で歌うハンナ(ジェラルディン・チャップリン)だが、途中で歌が歌えなくなる。観客の罵声を浴び、引っ込むハンナの代わりに息子のチャールズが歌い大歓声を受ける。

偉大なる喜劇王、チャーリー・チャップリンの人生

喜劇王チャーリー・チャップリンの生涯を描いた作品。

伝記映画の中には、半生だけを描く作品も多いが、ほぼ生涯全域に渡って描かれているのが本作の特徴であろう。言い換えれば、チャップリンには、それだけ多くの事柄が人生に配されていると言えるだろうし、また、チャップリンを語る上では、幼少期の生い立ちが外せないという事にもなるのだろう。

比較的、長時間の作品ではあるが、それでも多くのエピソードで形成されたチャップリンの人生には、時間が足らず、矢継ぎ早に感じてしまう面もある。ただ、特に前半は、あきらかに意識しているシーンも含め、チャップリンが製作した映画のようなテンポの良さを感じる。スクリーンの中と私生活が別であるのはもちろんなのだが、チャップリンの映画である以上は、彼らしさを感じさせて欲しいと思うし、そういった意味では、彼の作風である軽妙さを取り入れた事は素晴らしく思う。

もちろん事実に基づいて物語は進行しているのだろうが、まるで起承転結のセオリーに則ったようなまとめ方は観る者に優しい。くり返しになるが、エピソードが多い為に、ひとつひとつに時間を割く事はないのだが、それでも、ちりばめられたエピソードは大変興味深い。

スクリーンの中から世の中を楽しませた道化師は、そのコミカルな演技からは想像もつかない、紆余曲折、波瀾万丈な人生を歩んでいた。そんな彼に本作が用意したフィナーレはアカデミー授賞式。そのシーンは、まるでカーテンコールのようであり、喜劇王を描いた映画として実に相応しいクライマックスなのではないかと思う。

本作でチャップリンの母親を演じているのは、チャップリンの実の娘ジェラルディン・チャップリン。


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