自分勝手な映画批評
月
2000 日本 115分
監督/君塚匠
出演/黒木瞳 今村理恵 中村梅雀 萩本欽一
夏海(今村理恵)の祖母が亡くなった。その葬儀で夏海は数年ぶりに母親である遥(黒木瞳)と再会する。

カッコーの親子

東京・浅草を舞台に、ストリッパーの母とその娘を中心に展開される人情劇。

多くを詰め込み過ぎた感があり、雑多でまとまりはないのだが、その事がかえって、良い効果をもたらしているように思える。

舞台は砲弾が飛び交う戦場ではない。しかし皆、もがきながら必死に生きている。その中で、他人に迷惑を掛ける者、掛けられる者が出てくる。だが、決してドライな関係ではない。決して自分さえ良ければといった感じでもない。結果的に自分本位であっても、誰かの尻拭いをさせられたとしても、腐れ縁とも言うべき、下町の絆を感じとる事が出来る。

本作には欽ちゃんこと萩本欽一が出演している。私の中でバラエティーの印象が強過ぎるのか、正直、彼の演技には違和感を覚える。だが、浅草出身という事が影響しているのか、彼の存在自体が本作に浅草色をもたらしているように思える。もしかしたら、欽ちゃんが出演していなければ、下町風情の人情は感じられなかったのかも知れない。

娘役の今村理恵が良い。目力(めぢから)なんて言うが、本作での彼女の瞳もその類いだろう。彼女の瞳からは、か弱き女の子ながらも、凛とした意志の強さを感じる。その眼差しの強さは、ラストの彼女の決意へと結びつく。


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