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ユーモアを積み重ねた、心暖まる物語 ニューヨークへの航空機に搭乗中に母国で軍事クーデターが起きた為、入国ビザが取り消され入国出来ず、なおかつ帰国も出来ず、空港内で立ち往生、閉じ込められてしまった男の物語。 何と言っても設定が絶妙である。安易に話を外に広げず、空港内という閉鎖的な空間での可能性を追求したことが良い効果をもたらしているのだと思う。 どうにもならない絶望的な状況。嘆き悲しんだところで時は無情にも過ぎて行く。ならば、そんな状況下でいかに有意義に過ごすか? そんな風に考えられる男の思考回路が本作のポイントだ。 確かに、ひとつの場所に留まることは退屈なのかもしれない。しかし、その場所は本当に退屈なのだろうか? 例えば、いつもなら気にも留めないことを改めて直視してみる。案外面白く、もしかしたら、そこに幸せや喜びがあるのかもしれない。 自分の生活に重ねてみた場合、テレビや雑誌で紹介されるような有名スポットやイベントばかりが満足のすべてではない、おざなりにしている日常にも十分に愉しみを見出せる、幸せを感じられる、そこに大切な事があるのかもしれない。そんな事を気付かせてくれる作品のようにも思える。 作中にちりばめられたユーモアは、どこかテーマパークのアトラクションで感じるサプライズように幸せな気分にさせられる。そのサービス精神には制作者側の努力や労力が感じとれ頭が下がる。いかにして楽しませようかというアイデアの探求、ロマンティックさを加味したセンス、それを具現化できる能力こそ追随を許さないエンターテイメントの本場、ハリウッド映画の醍醐味であり真骨頂だと思う。それはあたかも、限られた空間を深く掘り下げて楽しんで生きる本作の主人公の姿勢に相通じるように思える。 スピルバーグのインタビューによると、本作はトム・ハンクスありきの作品だったらしい。まさに彼の芸達者ぶりが思う存分味わえる作品に仕上がっている。彼が演じるナボロスキーのバイタリティーと実直さと優しさに、登場人物たちと同様に心を動かされてしまう。 |
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