|
||||||||||||
ユーモアで包まれた問題作 父と息子の関係を描いた作品。オダギリジョーと麻生久美子はテレビドラマ「時効警察」のコンビ。加えて監督の岩松了も「時効警察」での共演者である。 母子ではなく父子という関係への着眼点が面白い。同じ父子でも父と娘では違うだろうし、同性だとしても母と娘では違うと思う。父と息子の関係性では父の背中を見て息子が育つ、または反発するといったパターンがあると思うが、本作はどちらかというと母子に似た関係性、しかし父と息子だから面白味があるのだと思う。 見どころは実力派を揃えた豪華な出演陣だろう。彼らでなければ随分と安っぽく仕上がってしまったのではないかと思う。逆に言えば彼らの実力を見越しての物語なのではないかと思う。特に原田芳雄が演じる父のキャラクターが本作を大きく左右しているように感じる。女好きとは言えないのかもしれないけれど、なにげに女性にモテる中年男。チャラチャラしすぎては台なしだし、堅物すぎても面白みがない。まさに原田芳雄でなければならない役ではないかと思う。また麻生久美子の特有の色気も素晴らしく、同年代の女優では代わりのいない存在なのだと実感できる。 通常の人間関係において、好んで別れは求めない。友達でも恋人でも夫婦でも基本的には仲違いがあったり嫌になったりして別れるのである。しかし親子は違う。様々な経緯があるのかもしれないが、お互いの、おそらくは主に子供の発展の為に親離れ・子離れという別れが存在する。これは社会通念上、自然の摂理とも言える当たり前のことなのだが、視点を変えた見方をすると稀な別れではないかと思う。 どことなくユーモラスに父と息子の関係が描かれているが、ある意味タブーに挑んでいる作品とも言えるだろう。特にラストシーンは大いに賛否が別れるのではないかと思う。 |
>>HOME >>閉じる |
|||||||||||
★前田有一の超映画批評★ おすすめ映画情報-シネマメモ |
||||||||||||