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きらびやかな装飾に隠された愛 原作はブレイク・エドワーズの同名小説。聞くところによると、彼はマリリン・モンローをイメージして執筆したらしい。映画も最初は主役のホリー役にモンローにオファーしたがイメージチェンジを模索していた彼女に断られ、オードリーに決まったらしい。主役変更にともないオードリー色を強くした作品にしたらしい。原作でのホリーはもっと品のない女性として描かれていたらしいが、オードリー色が強く、本来のイメージから離れてしまった為、原作者のエドワーズには本作は不評だったらしい。「〜らしい」ばかりで申し訳ないが、そういうことらしい。 代役とまでは言わないが、そういった経緯でめぐり逢った本作だが、彼女を代表する作品となった。彼女のポートレイトといえば「ローマの休日」と同じくらい本作でのスナップが使われているのは、その証であろう。そして時代を代表する二大女優のこういった裏事情も面白い。 オードリーはオードリースタイルとでも言うべきか、多くの作品で同じような役柄を演じている。もし現代ならワンパターンだと批判されそうだが、現代よりもスターの私生活が露になっていない当時ならば、スクリーンの役柄を通じてスターの人となりを感じたと思われ、映画が夢の世界であった古き良き時代の産物と言えるだろう。しかし、そんなこと以上に観る者を引き付ける絶対的な魅力があったことは言うまでもなく多くの人が感じる既存の事実だ。本作でもその魅力を思う存分見せつけてくれる。 本作のオードリーはブロンドヘアだ。海外の映画やドラマでブロンドの女性を「頭の悪い」女性と揶揄する光景をしばしば目にしたことがある。もちろん実際にはそういった中傷は実にナンセンスなのだが、主役のホリーの品のない女性という設定を意図してなのかもしれない。しかしそこはやはりオードリースタイル、ほぼ全編でアップにした髪型はとてもスタイリッシュ。全体を通してトレンディドラマといえるようなきらびやかさは、タイトルにも入っている宝飾店のような雰囲気をも感じさせ、いかにも彼女の作品らしいと言えるだろう。 オードリーが演じることによりチャーミングになったホリーだが、人物像としては自由奔放で上流思考が強く身勝手。貧しい生まれの彼女は多くを求め過ぎたのだろう。求め過ぎた故の知らずに課せた自分のルール。それは自由奔放とは相反する雁字搦めの檻の中だ。そんな時に届いた愛の言葉。 もしかしたら、ファッション的な要素に心の多くを奪われる作品なのかもしれない。そして、おそらく多くの人のオードリーのイメージはファッショナブルでチャーミングな女優ではないかと思う。本作は、そのイメージを上手く利用し、結局はそのイメージを逆手にとって伝えたい本質を描いているのではないだろうか? 誰もが認めるファッショナブルなオードリー。そんな彼女が飾りではない真実の愛を見つけたのならば…… そう考えるとオードリーの起用は正解だったと思う。 主題歌「ムーンリバー」はあまりにも有名。名もなき猫も名演だ。 |
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