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俺たち最強の家族だろ 原作は伊坂幸太郎の小説。連続放火事件の真実を追ったミステリー。 活字があまり得意ではない私は、原作小説を未読なのだが、監督・脚本・出演者は違えど、同じく伊坂幸太郎が原作のアヒルと鴨のコインロッカーと同じような雰囲気を持つ作品のように感じる。両作を観て強く感じるのは、ミステリーはあくまでもテーマを魅せる為の手法だという事だ。 作品をジャンル分けするのは、ナンセンスなのかも知れない。それを知っても、あえて分類するなら、本作はミステリーのジャンルに入るだろう。但し、作品の根幹とも言うべき内容を考えてみれば、本来ならヒューマンドラマだと言える作品であると私は思う。実際、本作と同じようなテーマを描き、そのテーマにしっかりと重心を置き、ミステリーなど使わずに成立している作品は、いくつもあると思う。 しかし、本作はミステリーを用いている。しかも、かなりのウエートで。尚且つ、極めて優秀であり、「二兎を追う者は一兎をも得ず」なんてことわざは本作には当てはまらず、テーマもミステリーも高いレベルで並び立つ。 作者がどういった意図で、どのような思考回路で本作を完成させたのか分からない。そもそも「二兎を追う」といった発想ではないのかも知れない。ただ結果として、本作のテーマを物語の中で伝える最善の方法がミステリーだと思えるくらい絶妙に調和し、作品に厚みをもたらしている。 謎の連続放火事件が物語をリードして行く。しかし、その裏で描かれているのは家族の絆。悲しく切ない成り立ちだからこそ、強く結ばれた絆が、温かく胸に染み入る。 俳優陣が総じて素晴らしい。岡田将生演じる弟・春のカリスマ性のあるイケメン振りには説得力があり、本作の雰囲気を担っている存在だと言えよう。父親役の小日向文世の、自身が築き上げてきたフィールドの中で、いつもとは違う凄みを表現している演技も見事。 渡部篤郎は、まさに伸び伸びと、自己陶酔するかのように役柄にのめり込み狂人を演じる。出番はそれほど多くはないのだが、それでも、しっかりと存在感を示す吉高由里子も若いながらも流石である。 そんな中で、主人公の兄・泉水を演じる加瀬亮が、まるでスポンジかクッションのように、全ての衝撃を受け止める。この包容力があってこそ、悲しくも優しいドラマが成立している。 |
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