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ニューヨークマラソン? 再結成した中年パンクバンドの面々と彼らを発掘した女性マネージャーとのライブツアーでの珍道中を描いたコメディー。 少子高齢化が影響しているのだろうか? 近年「オヤジ」が随分とクローズアップされているような気がする。 確かに昔に比べて「オヤジ」と呼ばれる年代の人達は若い。思い起こせば、私が子供だった頃の学校の校長先生は立派なおじいちゃんだったような気がする。しかし、よくよく考えてみれば定年前。そう考えれば、昔の年齢の感覚とは現在は大分違うのではないかと思う。 しかし、もてはやされるのは、若くてクリーンな「オヤジ」達。一方で加齢臭なんて言葉で代表されるような、昔ながらの「オヤジ」も現存する。 話は逸れるのだが、ひと昔前に一世を風靡した、大雑把に言えば、不良性を前面に出したロックバンドの現在のコンサートの模様をテレビで観た事がある。彼らよりも上の年代で、今もなお、昔ながらのイメージのまま、細身のパンツでカッコイイ不良性を保っている人達がいるのに対し、昔、カリスマと崇められた、そのバンドのフロントマンは、腹が出て、言っちゃ悪いが、見るも無惨な姿で画面に現れた。 しかし私は「この人達、まだ不良なんだ」なんて、ふと思った。中年以降も昔のイメージのままカッコ良くいられるのは、想像ではあるが、日頃の摂生やトレーニングの賜物だろう。しかし、それらは彼らが若い頃に打ち出した不良性とは真逆のスタイルだろう。 元カリスマがどうしてそんな風貌になったのか、実際の理由は分からないのだが、不摂生の極みとも思える体型を見て、決して誉められる事ではないのを重々承知の上で、何だか嬉しく思った。 本作の作風は、まさにクドカンワールドと言えるだろう。特に前半は、ページをめくる度、1コマ1コマ追う度に笑えるギャグマンガを読んでいるような趣で、矢継ぎ早に笑いが訪れる。 宮崎あおいも最初から飛ばず。彼女の華奢な幼さは、多くに愛される武器であろう。そんな武器を引っさげて、縦横無尽に暴れまくる。そんな彼女が「オヤジ」達に汚されて行く。正確には宮藤官九郎に汚されて行く。しかし、彼女は真っ向勝負で怯まない。だからこそ面白いのであり、その姿勢に宮崎あおいの女優魂を感じられる。 佐藤浩市も負けていない。彼が凄いのは、彼が演じるのには、あまりお目にかかれないような役柄であるのだが、それでも、まさしく佐藤浩市なのである。彼はブレない。佐藤浩市の役者としての絶対的な存在感を見せつけられたような感を覚える。 そんなハイテンションの二人を木村祐一のとぼけた演技がアクセントをつける。ユースケ・サンタマリアは違う角度から二人に切り込んで行く。田辺誠一のビュジュアル系の成り切り振りも実に良い。 下品に感じる描写もあるのだが、それも含め、宮崎あおいをはじめとする俳優陣の弾けた演技を存分に楽しめる作品だ。 |
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