自分勝手な映画批評
シムソンズ シムソンズ
2006 日本 113分
監督/佐藤祐市
出演/加藤ローサ 藤井美菜 星井七瀬 高橋真唯 大泉洋
北海道常呂町に住む女子高生の和子(加藤ローサ)は何も無い町、何も無い自分に嫌気がさしていた。そんな時、地元の英雄であり彼女自身も大ファンである真人(田中圭)の出場するカーリングの試合を見に行くのだが…

あのハウスの向こうに何が見える?

私のオリンピック鑑賞の楽しみは、まず第一は四年間の努力と精魂をぶつけた選手のパフォーマンスなのだが、普段あまり目にすることのない競技を見られる点も挙げられる。その中のひとつがカーリングだ。「氷上のチェス」と称されるこの競技の緻密に練られた戦略かつ咄嗟の判断力に基づく頭脳戦とそれを実現する寸分の狂いも許さない技術は大変見応えがあり、その緊張感に知らずにのめり込んで見入ってしまう。

本作は2002年ソルトレイクシティ冬季オリンピックに出場したカーリング女子日本代表チームの軌跡をモデルにしているらしい。非常に興味深いテーマではあるのだが、エンターテインメント性が豊かな本作は、どこまでが実話に忠実なのかは正直わからない。また、作中での試合のパフォーマンスや緊張感をオリンピックと比較するのもさすがに酷であろう。しかし、リアリティーとの兼ね合いを考えなくても、少女達の成長を描いた作品として十分に楽しめると思う。

生きる喜びや目的を見い出すと言ったら少々オーバーなのかもしれないが、ポジティブに人生に臨む若者の姿は実に気持ちが良い。目標に向かって突き進む若者達。しかし、すぐに結果が得られる程、人生は甘くない。それでも少しでも前に進もうとする意欲、めげずに「とりあえず1点とろう!」という心持ちがあるからこそ、明日へと繋がるのだと思う。

加藤ローサをはじめとする若きキャストの瑞々しさと、スポーツの清々しさとが呼応して生まれる躍動感が素晴らしい。そんな彼女達を見守る大泉洋をはじめとする大人達の温かさ。上手くツボを押さえたストーリーと演出、登場人物の活き活きとしたキャラクターが相まって爽やかで希望の詰まった作品に仕上がっている。


>>HOME
>>閉じる











★前田有一の超映画批評★

おすすめ映画情報-シネマメモ