自分勝手な映画批評
シェーン シェーン
1953 アメリカ 118分
監督/ジョージ・スティーヴンス
出演/アラン・ラッド ブランドン・デ・ワイルド ヴァン・ヘフリン ジーン・アーサー
西部開拓地の牧場。鹿に銃を向けるジョーイ(ブランドン・デ・ワイルド)だが、彼方から馬に乗った男(アラン・ラッド)が現れる。

銃を置いたガンマン

「シェーン、カンバック!」と叫ぶラストシーンがあまりにも有名な作品。西部劇でありながらガン・アクションはほとんどなく、家族や仲間、シェーンと彼に憧れる子供のジョーイ等、人間関係・人間心理が主として描かれている。銃弾の発砲数は本当に数える程なのだが、そのことがかえって効果的であり、迫力があり、重みを増している。と同時に銃の危険さも示している。

技術の進化は日進月歩だ。だから夜のシーンやケンカのシーンなどには明らかに技術的な未熟さを感じる。しかし夜のシーンには現在の映画にはない不思議な趣を感じてしまう。また、殺陣の手法や技術をほとんど感じないケンカのシーンではあるが、現在の映画以上に迫力を感じたりもする。トレーニングを積んで魅せる現代アクションは素晴らしいのだが、あまりにも見なれて、しかも画一的な印象も受ける。本作のアクションは現代に比べてあまりにも幼稚だが、生の迫力がダイレクトに伝わってくる。

作品自体が人間模様を重点にしているので、静と動とも言うべきコントラストの振り幅を狙った効果を感じる。もし現代で作るなら、クローズアップされている人間模様での人間心理を深く掘り下げて描くのではないかと思う。本作ではその部分はさらっと描いている。と言うよりも、ちゃんと描いていないのではない、そういう人達なのだ。愛する人の為に己を殺して当たり前のように身を引く男たちはなんてカッコイイんだろう! 確かに深層心理の描写はエンターテイメントの醍醐味ではあるが、本作のような粋な人間描写も現代作品で観たいと思う。


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