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ミスターマイナーリーグの生きざま コメディともとれる作品であり、その描写は行き過ぎた感もあるのだが、中年男の生きざまが描かれている良作だと思う。 一応説明すると、メジャーリーグと呼ばれるアメリカの野球は日本で言うところのプロ野球の一軍。メジャーリーグの下には1〜3Aという3つのカテゴリがあり、日本で言うところの二軍、3つあるので二・三・四軍なのだが、これらはマイナーリーグと呼ばれ、アメリカのプロ野球であってもメジャーリーグとは言わない。すなわちメジャーリーグとはアメリカのプロ野球のトップリーグのみの名称である。ついでに言うと大リーグとはメジャーリーグの日本語訳にあたる。 日本でもいわゆるプロ野球(NPB)以外にも独立リーグが出来、プロ野球選手の人数も以前に比べて増えてはいるが、前述のとおり、メジャーリーグの下に3つもカテゴリがあるアメリカの方がはるかに選手の人口は多くプロ野球の底辺は広い。ということは、単純に考えれば、マイナーからメジャーに上がるのは日本よりも困難であり、失礼な言い方ではあるが、マイナーリーグで燻って、甘んじている選手も多々いるのではないかと想像できる。日本でプロ野球選手といえば、例え二軍選手といえども一目置かれる、スポーツエリートといった感じではないかと思うのだが、アメリカのマイナーリーグの選手は、これまた失礼な言い方ではあるが、日本で言う実業団の選手のような、ある意味親近感みたいなものがあるのではないだろうか? 本作に登場する選手達はプロ野球選手というよりも肉体労働者に近い気がする。プロ野球選手の普通の生活・日常を描いているのではなく、普通の人の職業がプロ野球選手だったといった具合である。確かに野球は金になるスポーツだ。しかし、それはほんの一握りの人達。一握りにはなれなくても自分にとって一番適している仕事を職業とする。これは他の業種なら当たり前のことではないだろうか? だからこそドラマになるのだと思う。そしてプロ野球の裾野が広いアメリカだからこそなのだと思う。 メジャーリーグを21日間経験したことを一生の誇りに思う者。その経験談をまるで子供のように聞き入る未経験者たち。一握りにはなれない男たちの原寸大の姿が描かれている。それはわかりやすい弱肉強食のスポーツの世界だからこそより露に感じられる。 ケヴィン・コスナーが良い。彼だからこそ凛としたプライドとやりきれない哀愁が同居したマイナーリーガーに現実味を与えたのだと思う。正直に言うと野球のシーンは相対的にいただけない。選手達の線も細い。しかし、今でこそ筋トレ等の肉体トレーニングは重要視され皆、アスリートな体型のプロ野球選手だが、昔は今よりも不摂生な選手もいたことは認識に入れておいた方が良いだろう。 |
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