|
||||||||||||
革命の名のもとに…… タイトルに入っている「あさま山荘」というあまりにも大きな事件の名前のインパクトが強いので、事件そのものを描いているのかと思ったが、もちろん事件も描かれているのだが、まさにタイトルどおり、あさま山荘事件に行き着く過程、連合赤軍の内情が描かれている。 あらゆる意味でショッキングだ。特に中盤の描写は酷い。同じフレーズのくり返しで同じ行動のくり返し。自己批判し自己を総括するのは素晴らしいことだ。すべてとは言わないが、そこから新しい未来が導けるのかもしれない。しかしそれは、あくまでも自分自身で自己を批判し総括することである。だが、人間は弱い。だから自身の反省も甘くなるのかもしれない。それを見て他人が口出しするのもアリだろう。しかし、本作で描かれているその描写は、あまりにも身勝手で理不尽であり、度合いを大きく逸脱した独裁者による横暴だ。直視しがたい光景が続き、あまりにも不快だ。 当初、坂井真紀のキャスティングには疑問だった。本作中も彼女は浮いている。しかし結末を見ると納得できた。さらには彼女が演じた実在の人物のエピソードを少し調べたらさらに納得できた。坂井真紀は彼女の個性で悲しい結末を迎える人物を演じている。迫真の演技だ。彼女を追い詰める立場の人間を演じる俳優陣も素晴らしい。ここまで負の感情に訴えるのはたいしたものだと思う。特に永田洋子を演じた並木愛枝の恐ろしさは印象的だ。 私は彼らの世代ではないので、当時の時代観や価値観はわからない。だから現代とのギャップを大きく感じる。主義や思想を持つのは自由だ。個人主義に特化した現代人には彼らに見習うべき点があるのかもしれない。しかし目的を奪取する手段が暴力であってはならない。これは現代人の誇れる共通意識であろう。暴力を用いることで彼らの大義は正当でなくなる。革命家ではなくテロリストに成り下がるのだ。 |
>>HOME >>閉じる |
|||||||||||
★前田有一の超映画批評★ おすすめ映画情報-シネマメモ |
||||||||||||