自分勝手な映画批評
17歳のカルテ 17歳のカルテ
1999 アメリカ/ドイツ 127分
監督/ジェームズ・マンゴールド
出演/ウィノナ・ライダー アンジェリーナ・ジョリー
スザンナ(ウィノナ・ライダー)はアスピリンの多錠摂取で病院に運ばれる。彼女は両親の手配により精神病院に入院させられてしまう。

「向こう」と「こっち」の境界線

精神病院での生活を描いた作品。病気と言われる人と正常だと言われる人の境界線は、問題を起こしたか・起こしてないか、もっと言えば、医者にかかっているか・いないか、病院に入院してるか・してないかということなのかもしれない。その定義に当てはめれば自殺未遂を起こし入院したスザンナは立派な病人だ。しかし、それはただの線引き。予備軍という言葉でかたずけられる患者は沢山いるであろう。そしてその境界線で苦しんでいる人も沢山いるであろう。人間らしさとは何なんだろうか? スザンナが自覚するきっかけとなったあの現場で、しっかりと人間らしい行動がとれるのであろうか? 心の闇をつき、訴えかける問題作だ。

出演陣、特に若き出演陣は総じて良い。本作で第72回アカデミー賞の助演女優賞を受賞した金髪のアンジェリーナ・ジョリーは衝撃だ。まるで毒蛾のような妖しい輝きで他者を引き付ける。魅せられたのはウィノナ・ライダー。彼女は今にも折れそうな華奢な体でとまどい、受け入れ、悩み、悟るといった主人公の心の起伏を繊細に見せてくれる。


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