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リングで生き残るしかない 大金を賭けた殺人ゲームに巻き込まれる若者の姿を描いた作品。 本作は、2005年に製作され、ヴェネチア国際映画祭最優秀新人監督賞を受賞した映画「13/ザメッティ」のリメイク作品である(本作の原題は「13」)。但し、リメイクではあるのだが、オリジナルで監督・脚本を務めたゲラ・バブルアニが、本作でも監督・脚本(本作では共同脚本)を務めている。 電気工のヴィンスは仕事で訪れたある家で、その家の主人ウィリアムが受け取った手紙に大金を手に入れる何らかの手段が記されている事を知る。翌日、仕事の続きで、その家に再びヴィンスは訪れたのだが、ヴィンスが仕事をしている最中に、ウィリアムは薬物の過剰摂取で死んでしまった。警察の事情聴取も終わり、帰ろうとしたヴィンスだったが、手紙の事を思い出した。ヴィンスの家庭は父親の怪我の治療費を払う為に、自宅を担保にしなければならない程に切迫していた。気付かれないように手紙を盗み出したヴィンスは、誰にも打ち明けずに独断でウィリアムの代わりとなり、大金を手にする手段も分からぬままに、手紙の指示に従って行動するのだった。 法外なギャンブルゲームをテーマにしている点では「カイジ」シリーズや「LIAR GAME」シリーズと似たようなタイプの作品だと言えるのかも知れない。但し、本作のゲームはシンプルなロシアン・ルーレット。一瞬にして勝負がついてしまうゲームの性質からして、その攻防自体から奥行きのある展開は望めない。だが、攻防の強烈な緊張感は、シンプルなロシアン・ルーレットであるが故にもたらされているのだと思う。 そのシンプルなゲーム性に倣うかのように、ストーリー自体も俄然シンプルである。独創性豊かな特殊なストーリーであり、登場人物も非常に多い。ならば、いくらでもストーリーを広げ、掘り下げる事が出来ると思うし、細々とした説明も本当なら必要だと思うのだが、本作はそのような処置を施していない。 ただ、このスタイルも吉と出ている。シンプルでコンパクトに構成する事によって集中力が高められ、窒息しそうな程に緊迫した怒濤の展開に強制的に引き込まれる事となる。この演出は本当に見事。スリルとサスペンスが満ち溢れた異様で異常な物語に停車駅はなく、猛スピード、ノンストップで暴走して行く。心して臨まなければ痛い目に遭う事だろう。 とにかく常軌を逸した世界、とてもじゃないが正気の沙汰ではない世界が描かれている。但し、良心もある。その良心こそが唯一の救いなのだが、それに気付いた時には、もう手後れなのかも知れない。 |
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★前田有一の超映画批評★ |
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