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高慢は罪だ、神の試練が訪れるぞ、復しゅうの天使がな! 原作はジョン・カッツェンバックの小説。えん罪事件に挑む大学教授の姿を描いたミステリー。 死刑、えん罪、違法な取り調べ、自白の強要、人種差別、閉鎖的な地域社会等々、どれか1つだけ取り上げても十分に物語が成立するような要素が数多く詰め込まれているのが本作の1つの特徴であろう。しかも、それらは、まるで1本の糸で繋がれているかのように関連性を有して描かれている。この構成力は抜群であり、高いインテリジェンスを感じさせる。 死刑廃止論者でハーバード大の教授のポールは、自身が出演した討論会の終了後まもなく、ある老女に引き止められ、無実の少女誘拐殺人の罪で服役し死刑囚となってしまった孫を救って欲しいと頼まれる。弁護士を辞めて25年も経つポールは、一旦は断り帰宅するのだが、妻のローリーに諭されて老女の依頼を受ける事にする。 現場を離れ温室に長く閉じこもっていた理想主義者が再び外へと一歩踏み出す。すると彼は、今まで直に触れてこなかった現実の荒波、芋づる式に現れる幾多の過酷な困難にさらされる事となる。但し、彼は高名な大学教授。賢明でない筈はなく、そうなる事は予め想像していた。しかし、その圧力は想像以上であり、引っ切りなしに彼を苦しめる。 大層な主張を掲げても机上の空論でしかないのなら、実現性の乏しい絵に描いた餅でしかない。「事件は会議室で起きているんじゃない」とは違う映画の台詞だが、まさにそういった心境が物語をリードして行く。 現実に引き戻された大学教授が、どのように困難に立ち向かうのか? サバイバルな展開だけでも確かな見応えを感じるのだが、そこで終わらせないのが本作の秀でたところであろう。本作の主はミステリー。ストーリーテラーは雑多な事柄をさばく見事な腕前で魅了させつつ、水面下では着々とメインの下ごしらえを続けている。 ショーン・コネリー、ローレンス・フィッシュバーン、エド・ハリス等、個性的な俳優の見事なまでにアクの強い、迫力の演技の応酬は本作の大きな見どころ。子役時代のスカーレット・ヨハンソンにも注目。 |
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