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夢はロックンロールだ 1950、60年代には多くのスターが若くして亡くなった印象がある。言い方は悪いが、中には自らが招いてしまった悲劇もある。だが、不慮の事情で命を落としたスターもいる。 1959年2月3日、小型飛行機が墜落し、搭乗していたロックンローラー、バディ・ホリー、ビッグ・ボッパー(J・P・リチャードソン)、リッチー・ヴァレンスが亡くなった。この事故は「音楽が死んだ日(The Day the Music Died)」と呼ばれているらしい。 本作は、その中の一人、リッチー・ヴァレンスの半生を描いた作品である。半生と言っても彼が生きたのは、たった17年間。振り返るには、あまりにも短過ぎるだろう。しかし、それでも濃い日々が本作には綴られている。 どこまで実話に忠実なのか分からないのだが、実に明快でまとまりある内容になっており、大変に見やすい作品なのではないかと思う。まだまだロックンロール草創期である1950年代後半を舞台に、スターへと上り詰めるサクセスストーリーを軸にしながら、貧困、恋愛、そして家族の絆(中でも兄弟の微妙な関係)とエンターテインメントな要素が存分に詰め込まれている。 本作の魅力はリッチー・ヴァレンスの素晴らしい人格にあると私は思う。エルビス・プレスリーのデビューのきっかけである自費での私的なレコーディングは、母親の誕生日に自分が歌った曲のレコードをプレゼントしようとした為だと言われているが、リッチーも負けず劣らず家族想いである。 音楽はリッチーの夢ではあるのだが、家族の生活を楽にしてやりたいという想いが音楽の道を貫く動機となっているように思う。そんな心優しい若者が主人公の物語は、観ていて清々しく温かい気持ちにさせられる。 ロックンローラーの物語だけあって、作品を彩る音楽も本作の魅力だ。ロス・ロボスが演じて全米No.1に輝いた主題歌「ラ・バンバ」をはじめ、「カモン、レッツ・ゴー」「ドナ」等、存分に楽しませてくれる。エディ・コクランを演じたブライアン・セッツァーが歌う「サマータイム・ブルース」が聞けるのは、ちょっとしたボーナスのようで得した気分だ。 |
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