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故里のシドナウに戻って、クリスマスを祝って… 刑務所を出所した男が、身を偽ったが為に巻き込まれて行くサスペンス。 作為・不作為を問わず、ちょっとした過ちが自分ではコントロール出来ない大事を引き起こし、ど壺の深みにはまって行く。本作ほどの悲惨な状況ではないにしろ、もしかすると身に覚えがある人もいるのではないかと思う。もし、そのきっかけが、ちょっとした軽はずみな出来心であるならば、後悔してもしきれないだろう。 ベン・アフレック演じる主人公ルディは、刑務所生活で抑圧してきた欲情を、抑えきれずに咄嗟の嘘をつく。本人にとっては些細な虚偽であり、時期を見て正直に打ち明けるつもりでいたのだが、もはや後の祭り。自ら悲劇のドアを開けてしまう事になる。 本作は実にチープな物語だ。それは登場人物が皆、チープであるからに他ならない。本作に正義はないし、善人もいない。ただ、「塵も積もれば山となる」ではないが、チープな心理と人間模様の積み重ねは、悪の極みへと登り詰め、見事にサスペンスを構築して行く。 ポイントとなるのは、主人公ルディのキャラクターだ。賢明だとも呼べるのかも知れないが、それ以上に口が上手いと感じるキャラクター。そんな彼の気転が本作のキーとなる。 だが、それだけではストーリーは展開して行かない。ルディを使って悪巧みをするゲイリー・シニーズ演じるガブリエルの間抜けさが、ルディの出任せに振り回されストーリーを成立させる。狂気の危険人物ガブリエルの隙と、ルディのずる賢さが両輪となり、奇妙なバランスを保ちながら物語を牽引して行く。 本作ではヒロインも重要な存在である。シャーリーズ・セロンの妖艶で、しかも確かな演技力は本作を成立させるのに不可欠な要素である。 |
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