自分勝手な映画批評
NANA NANA
2005 日本 114分
監督/大谷健太郎
出演/中島美嘉 宮崎あおい 松田龍平 成宮寛貴
地元のライブハウスでのライブを大盛り上がりで成功させたブラスト。4人のメンバーは居酒屋で打ち上げを行なっていた。そんな中、レン(松田龍平)はある秘密を抱えていた。

ねえナナ、私たちの出合いを覚えてる?

原作は矢沢あいの漫画。偶然に出会った名前も年齢も同じ女の子二人を中心とした青春群像劇。

大ヒットした漫画が原作なだけに、惹き付けられる要素が存分に、しかも絶妙に詰め込まれた作品だと言えるだろう。

地方の街で熱狂的な人気を博していたロックバンド、ブラックストーンズ(通称ブラスト)。ボーカルのナナとベースのレンは恋人同士である。しかし、ある日レンは腕前を見込まれ、東京のバンドに引き抜かれブラストを脱退、ナナを置いて上京してしまう。2年後、自身の音楽の夢を実現させる為に東京へ向かうナナ。その列車内で、自分と名前も年齢も同じで、恋人を追って上京する奈々と出会う。

本作の基調となるのは若者の青春を描く上で必須とも言える恋愛模様である。しかも舞台となるのが芸能の世界の裏側、光り輝く世界でのサクセスストーリーである事は観る者の羨望と興味の感情を呼び起こすであろう。

さらには、そこに友情が加わる。もしかしたら、友情こそが本作の本筋だと言っても言い過ぎではないのかも知れない。偶然の出合いが運命の出会いである事は、恋愛を描く上で多く用いられるシチュエーションではあると思うのだが、それを本作は友情に当てはめ、不思議なロマンティックを実現させている。また、友情が結ばれたナナと奈々は根本的に性格が異なり生活習慣も基本的には重なり合わない。この事により物語は一本調子にならず、豊かな広がりを見せる。

物語を多数の将来有望な若い俳優たちが彩っているのも本作の特徴だ。正直、彼らの本作での演技力は均一ではなく、かなりの技量の差は感じさせる。目を見張る者もいれば、力不足と感じる者もいる。ただ、ビジュアル面が優れた俳優たちを揃えた事は、本作の魅力を成立させる上で大変意義があると私は思う。特に中盤、成宮寛貴と松山ケンイチの動きがシンクロし、中島美嘉が艶っぽい声色を奏でるブラストのステージングには、身震いする程のカッコ良さを感じる。


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