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舞台劇のような映画 回想シーンは若干あるのだが、ほぼ1つの部屋の中、ワンシチュエーションで物語が進行する作品であり、それが本作の面白さの根底であろう。この特異な設定は映画というより舞台演劇のようであるが、映画では舞台演劇のライブの熱気や迫力がない反面、舞台では出来ない様々なカメラアングルでの描写が映像ならではの利点だ。 冒頭、舞台のようなオーバーな演技が気になるが、物語が進むにつれ慌ただしい展開とも相まって良い効果を生んでいる。次から次へと明らかになる事実。立場こそ違えどひとりのアイドルを愛する熱狂的な思いは、密室という隔たれた空間では個々のキャラクターと相まって一層凝縮されて濃く際立っている。 特にユースケ・サンタマリアと香川照之は印象に残る。ユースケはバラエティー番組でのおちゃらけたイメージは本作ではない。彼の懐の深さ、引き出しの多さを実感する。しかし、時折こぼれるユーモアはいかにも彼らしい。そして香川照之。彼以外の四人が若さであるとか勢いで高いテンションを保っているのに対し、彼は違うアプローチで、ともすれば四人以上のテンションに持っていっているように感じる。老練とまでは言わないが、柔よく剛を制す、と言うよりも柔を用いて剛を成すとも言うべき演技力、これぞ職業役者という魂は素晴らしい。 探偵事務所のボスの探偵魂にも頭が下がる。 |
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