自分勝手な映画批評
彼女を見ればわかること 彼女を見ればわかること
1999 アメリカ 110分
監督/ロドリゴ・ガルシア
出演/グレン・クローズ ホリー・ハンター キャシー・ベイカー キャリスタ・フロックハート キャメロン・ディアス エイミー・ブレネマン
自宅で母の介護をしている医師のキーナー(グレン・クローズ)はタロット占い師のクリスティーン(キャリスタ・フロックハート)を自宅に呼んだ。

大人の女性が抱えるそれぞれの問題

5つのストーリーによるオムニバス作品。それぞれストーリーすべてが女性を主役に据えており、なおかつ登場人物の多くが女性である。

多くのシーンが登場人物二人での会話シーンで成り立っているのだが、2ショットで収めるというよりも、こちらと対面したバストアップの1ショットで収めるシーンが多い。だからこそ豪華な女優陣の演技が見ものであり、彼女達の些細な表情を見逃したくない。

本作で描かれているのはある程度の年齢のいった大人の女性の抱える寂しさや悲しみ、絶望といった悩みである。全体としてアンニュイな雰囲気で包まれており、重く、息苦しく、ネガティブだ。しかしクローズアップされている彼女たちの抱える悩みは、あくまでも彼女たちの一部、プライベートなアナザーサイドと考えるべきであろう。自分以外のストーリーに少し絡んでいるのはその意味であろう。片方では問題を抱え、片方ではきっちり仕事をこなす姿は共感でき自己投影できる大人のあり方であり、大人の責任感と悲愴感である。

5つのオムニバスなので単純計算すると持ち時間は20分程度。だから彼女達の現状が必ずしも解決する訳ではない。そこもとてもリアルである。多かれ少なかれ、おそらく多くの人が問題を抱えながら生きている。逆説的ではあるが、大人の女性の力強さを描いた作品である。


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